フジツボ(富士壺)は富士山状の石灰質の殻をもつ固着動物である。大きさは数ミリから数センチ。甲殻類、フジツボ目に分類される。ただし、フジツボ目のなかでも、固着部と殻の間に筋肉の柄をもつカメノテなどエボシガイ上科は、一般にフジツボとは呼ばない。世界中の海洋の潮間帯から深海にかけて生息している。淡水に生息する種は存在しない。岩や船底、他の動植物などに固着し、全く移動しない。イシサンゴ類やクジラの皮膚に固着するフジツボの場合、しばしば宿主の体組織に食い込み、埋没して殻の口の部分だけを外に覗かせている。
19世紀初めまで、フジツボは貝などと同じ軟体動物であると考えられていた。しかし、エビ、カニなどの甲殻類と同じく自由遊泳性のノープリウス幼生として孵化することが1829年、J.V.トンプソンにより明らかにされ、甲殻類に分類されるようになった。19世紀半ばには、チャールズ・ダーウィンがフジツボの系統的な研究を行い、フジツボの分類学的な基礎を築いた。
フジツボが船底に付着すると、水の抵抗が増すため、船のスピードが鈍ってしまう。これを防ぐため、船舶の外板に毒性のある銅を含む塗料を塗布することがある。以前はさらに毒性が強い有機スズ化合物が使われ、深刻な環境汚染を引き起こした。また、原子力発電所の冷却水などの取水口にフジツボが大量に付着し、問題となることがある。
フジツボは体内に亜鉛などの重金属を蓄積する。このため、フジツボは海洋汚染の調査に用いられている。
動きまわって異性を見つけることが出来ないため、幼生が着底するときに既に他個体が固着している近傍を選択する性質を持ち、群生して生活している。また雌雄同体であるため、固着生活でも効率的な生殖が可能である。雌雄同体ではあるが、自家受精することはほとんどないと考えられ、通常は隣接する個体と交尾する。隣、あるいは数個体分の距離にまで離れた個体まで届く鞭状の長い雄性生殖器を持っており、これを届く範囲の近傍の個体に挿入することで、交尾を行う。
受精卵は殻のなかに保たれ、孵化するとノープリウス幼生として外に出てくる。ノープリウス幼生は自由に遊泳し、海水中の植物プランクトンなどを捕食する。1ヶ月程度で、二枚貝や甲殻類の貝虫類(ウミホタル類)によく似たキプリス幼生に変態する。キプリス幼生は代謝のレベルが低く、餌を食べない。このことから、チャールズ・ダーウィンはキプリス幼生のことを「動くサナギ」と呼んでいた。キプリス幼生は海底を動きまわり、固着生活に適した場所を探す。適当な場所は固着生活に適した場所に固有の微生物相によって判別され、さらに、特に既に成体が固着生活を営んでいる場所が見つかると、その近傍で頭部の触角にあるセメント腺から固着物質を分泌して接着、さらに脱皮して変態し、背甲由来の外套から石灰質の殻と蓋を分泌し、固着生活に移行する。
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