ピッキング (英語:picking)
針金のような簡単な金属の棒や、キーピックと呼ばれる専用の器具を鍵穴に差し込み、正式な鍵が差し込まれている状態を再現する事で開錠操作を行う。鍵を扱う業者がオートロックのドアや、鍵が失われて開かなくなった金庫などを開ける際に用いるほか、犯罪者の中にもこの技術に長けた者がおり、これに絡む犯罪の横行が社会問題となっている。
従来の手法では、開いている窓などから侵入したり、電動工具などを用いて鍵の構造自体を徹底的に破壊する事で、無理やりドアをこじ開けたり、窓ガラスを破って侵入するケースが多かった訳だが、これらでは戸締りがしてある家には侵入できなかったり、工具の動作音や破壊音が大きいため、周囲に気づかれる事があった。しかしピッキング行為では鍵穴を覗き込んだりしながら器具を操作して開錠するため、作業中は十分不審でも数分間程度であけられてしまい、また通常の開錠操作と同じ程度の音しかせず、犯罪の発見を遅らせてしまいやすい。
日本では1990年代にこれらに用いる器具が通信販売などで大量に出回って犯罪行為(窃盗やストーカーなどの家屋侵入)に用いられるケースがしばしば発生したほか、1990年代末からは不法入国者を中心とした中国人窃盗団のような外国人グループによるピッキング犯罪が社会問題化している。中国福建省には日本での泥棒稼業によって建てられた通称「ピッキング御殿」があるという。
1990年代に顕著化したストーカー犯罪では、盗聴・盗撮といった問題も取り沙汰されており、特に家屋に住むものが留守中に、侵入した形跡を残さずに鍵を開けて入り込む同手法が問題視されている。
その一方で日本において2003年(平成15年)6月に「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」(ピッキング防止法)が制定(同年9月施行)し、開錠道具の所持は、錠前業者が業務で使うなどの正当な理由が無い場合は違法行為となった。同法ではドライバー等の工具でも見咎められる場合がある。しかし一部の雑誌には依然としてピッキング関連の商品の広告を見ることができる。
なおピッキング対策を講じても、手口の異なるサムターン回し・カム送り開錠での侵入を防ぐ事はできないため、それらへの対応も同時に行う事が勧められる。
またピッキング作業中は明らかに「不審な行動」であるため、心理的に周囲から見られにくい場所に被害が集中する傾向が見られる。このため被害を受けやすい玄関や勝手口などには日没後は明るい照明を付け、また塀を低くするなどして往来からそれらのドアが見えやすいようにする事で、この被害に遭う危険性が下げられることが指摘されている。監視カメラの設置なども、ピッキング犯が避ける要素であるとされている。
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