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ヒキガエル科
分類
界: 動物界 Animalia
門: 脊索動物門 Chordata
亜門: 脊椎動物亜門 Vertebrata
綱: 両生綱 Amphibia
目: カエル目(無尾目) Anura
科: ヒキガエル科 Bufonidae
属・種・亜種
  • ヒキガエル属 Bufo
    • ニホンヒキガエル
      B.japonicus
      • ニホンヒキガエル
        B.j.japonicus
      • アズマヒキガエル
        B.j.formosus
    • ナガレヒキガエル
      B.torrenticola
    • ミヤコヒキガエル
      B.gargarizans miyakonis
    • オオヒキガエル
      B.marinus
    ほか24属
! 和名 ヒキガエル 英名 toad

ヒキガエル蟇蛙蟾蜍)とは、カエル目(無尾目) ナミガエル亜目 ヒキガエル科に属する両生類の総称。25属に分かれ、日本には移入種1種を含む1属4種1亜種が棲息する。

ヒキガマガエルガマイボガエルなどの異称をもち、漢名を蟾蜍(せんじょ)という。英語では、一般的なカエルを frog と呼ぶのに対して、ヒキガエルを特に区別して toad と呼ぶ。

動作は鈍く、多くのカエルのように跳ねることもない。比較的短い四肢で、肥大した体をのそのそと運ぶ。みずかきもあまり発達していない。寿命は最高で10年ほどで、古い庭先に居ついたものなどは、人の存在に慣れてしまい、同じ個体が日常的に目にふれるようになる。寺社や人家の小さな池などでも繁殖しており、降雨の際など、自然の少ない街中の往来に突然現れて、人を驚かしたりすることもある。

耳の後ろにある大きな耳腺から強力な毒液を出し、また、皮膚、特に背面にある多くのイボからも、牛乳のような白い有毒の粘液を分泌する。この毒によって外敵から身を守り、同時に、有害な細菌や寄生虫を防いでいる。不用意に素手でふれることは避けるべきで、ふれた場合は後でよく手洗いする必要がある。耳腺の毒液は勢いよく噴出することもあるのでこれにも注意を要する。この毒液には心臓機能の亢進作用、即ち強心作用があるため、漢方では乾燥したものを蟾酥(せんそ)と呼んで生薬として用いる。主要な有効成分はブホタリンなどの数種類の強心ステロイドで、他に発痛作用のあるセロトニンのような神経伝達物質なども含む。

主に夜間に活動し、舌を伸ばして昆虫などの小動物を取る。跳躍能力の発達したアカガエル科やアマガエル科などのカエルと違い、全身で獲物に飛びつくことはあまりなく、舌だけを長く伸ばす傾向が強い。

冬は土中で冬眠し、早春に現れて集団で繁殖を行う(いわゆる「蛙合戦」)。オスは「クックックッ」と鳴きながら産卵場所とその周辺を移動し、遭遇したメスに抱接する。オスが他のオスに誤って抱接されたときには解除音を発する。複数のオスが1頭のメスに包接しようとして大きな団子状になることもある。水中に寒天質・ひも状の卵塊を生み、地域にもよるが、産卵後は再び土中に入って春眠する。ふ化した幼生、即ちおたまじゃくしは、卵自体が比較的大きいので生まれた直後はむしろ目立つ大きさだが、アカガエル科やアマガエル科のカエルのように時間をかけて大きく育ってから変態するのではなく、かなり小さなうちに変態して幼体のカエルとなる。そのため、飼育下でおたまじゃくしから変態させた幼体を飼育することは、かなりの技術を要する。

日本のヒキガエル


ヒキガエルの仲間は、日本在来種のカエル類の中で体の大きさが最大のグループであり、平均12センチに達する。日本各地に広く分布し、
  • ニホンヒキガエル種の2亜種は、ニホンヒキガエルは西日本、アズマヒキガエルは東日本と、棲息域を分ける。山地の森林や畑、人家の庭などに棲み、川、池、水田などで繁殖するが、繁殖期以外はほとんど水に入らない。多くは止水や流れの緩やかな場所で繁殖する。近年、地域によっては激減しており、目撃例がなく既に絶滅していると推測されている地域すらある。その原因としては、道路舗装による生活環境の分断、止水の減少による繁殖機会の低下、水質の酸性化、従来の環境には少なかった天敵の増加などの影響が指摘されている。
  • ミヤコヒキガエルは宮古諸島のみに生息するアジアヒキガエルの固有亜種。ヒキガエルの中では中型。
  • ナガレヒキガエルは世界的に珍しい渓流性のヒキガエルで繁殖も渓流で行う。本州中央部の山岳地帯に生息する。

文化


  • 漢籍においては、「蟾蜍(せんじょ)」は兎(ウサギ)とともに、の象徴。夫の羿を裏切って一人で神になろうとした嫦娥と言う女性の伝説が由来である。日烏と呼ばれる3本脚のカラス太陽を象徴したのに対して、月には陰気の動物であるヒキガエル(蟾蜍)またはウサギ(月兎)が棲むとされた。東アジアの美術にしばしば登場するモチーフである。「蟾蜍」の名はまた、文具の「水滴」の別称にも流用されている。

  • 貝原益軒の「大和本草」には、蝦蟇(ガマ)を毛瀰(モミ)と称して食べたという記述があるが、蟾蜍(ヒキガエル)と蝦蟇は別の項目として載っている。古い時代には、「蝦蟇」は別の種類のカエルを指していたと考えられる。

  • 俳諧においては、「蟇/蟾蜍(ひきがへる)」「蟾(ひき)」「蝦蟇(がま)」は、夏の季語

  • 「イボガエルにさわるとイボができる」というのは誤った俗説だが、有毒なのでさわらない方がいいという意味では正しい。

  • 皮膚の毒から薬を作った。かつてこれを売ったときの口上が「蝦蟇の油売り」で、大道芸となっている。これにちなんだ落語「蝦蟇の油」もある。ただし、大道芸人の商った「蝦蟇の油」は、先述の真の蟾酥ではなく皮膚薬の馬油であることが多かったようである。

関連項目


カエル

Tudse | Toad | Crapaud | Pad (familie)

 

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