パフォーマンスアート(Performance art)とは、芸術家自身の身体が作品を構成し、作品のテーマになる芸術である。また、特定の場所や時間における、ある個人や集団の「動き」が作品を構成する芸術の一分野である。パフォーマンスアートは美術・視覚芸術の一分野であるが、絵画や彫刻等のような、物体が作品を構成する芸術とは異なったものである。
要素
パフォーマンスアートは時間、場所、パフォーマーの身体、パフォーマーと観客との関係という、四つの基本的な要素を含むすべての状態において成立しうる。
- その作品の行われる場所は美術館、ギャラリー、カフェ、劇場、路上など非常に多様である。
- また行われる時間や長さも多様である。1回限りのものもあれば、何度も演じられるものもある。一瞬で終わるものもあれば、映画並みに長いものや果てしなく続くものもある。
- パフォーマーは演劇とは違い、普通はキャラクターを演じず、芸術家自身としてパフォーマンスを行う。
- 即興の場合もあれば、練られた脚本に従って練習を入念に行い演じられるものもある。そのストーリーは一般的な起承転結や物語りに属しないものもあるし、そもそもストーリーが全く存在しないものもある。また観客は一方的に見るだけでなく、参加や助力を頼まれたり、場合によっては危害を加えられることもあるなど、パフォーマンスに巻き込まれることが多い。
他の表現との関係
パフォーマンスアートという概念は、
演劇・
ダンス等の
舞台芸術、
音楽、
サーカス(火吹きや
ジャグリング等)、
体操など、比較的主流の表現活動をも含むともいえる。実際に、これらの分野に越境しているパフォーマンスアーティストも多い。しかし、普通は、「パフォーマンスアート」という名のある種の芸術表現-
視覚芸術の中から誕生した
前衛美術や
コンセプチュアルアートの表現活動の一部を指すために使われている。パフォーマンスは大勢の人々に直接訴える方法であり、同時に人々にショックを与え自分達の芸術観や文化との関係を見直させる方法でもあった。
歴史
パフォーマンスアートという用語はいまや一般的な言葉になっているが、もともと使われ始めたのは
1960年代、
ヴィト・アコンチ(Vito Acconci)、
ヘルマン・ニッチ(Hermann Nitsch)、
ヨゼフ・ボイス(Joseph Beuys)、「
ハプニング」の創始者
アラン・カプロー(Allan Kaprow)らの作品の出現と同時期である。欧米の研究者はパフォーマンスアートの起源を
20世紀初頭の前衛芸術に遡って考えることもある。代表的なものは
ダダイスムで、
リヒァルト・ヒュルゼンベック(Richard Huelsenbeck)や
トリスタン・ツァラ(Tristan Tzara)らによりキャバレー・ヴォルテールで開催された型にはまらない
詩の朗読パフォーマンスなど、パフォーマンスアートの重要な創始者を生み出している。しかし、
ルネサンス期の芸術家が行った公共の場でのパフォーマンスを、近代のパフォーマンスアートの祖先と考える議論もある。またパフォーマンスアーティストの中には、部族の伝統
儀式から
スポーツにいたるあらゆるものにその表現の起源を置いている者もいる。パフォーマンスアートの活動は西洋芸術に限られるものではなく、
アジア、
ラテンアメリカ、
第三世界や
先住民出身者などに優れたアーティストが存在する。
種類
パフォーマンスアートのジャンルには、
ボディアート、
フルクサス、
メディアアートなども含まれる。
ネオダダや
ウィーン・アクション派のアーティストらは、自らの活動を「ライブ・アート」「アクション・アート」「即興」などと呼ぶことが多かった。
パフォーマンスアートには、観客の前で生で上演するものだけでなく、カメラの前で行いその記録を写真やビデオに写す者(マリーナ・アブラモヴィッチ、マシュー・バーニー、シンディ・シャーマンや森万里子など)、絵画のキャンバスの上で行う者(ジャクソン・ポロックやイブ・クライン、具体美術協会のようなアクション・ペインティングなど)もその一部といえる。また中には自分の身体に暴力を加える者(クリス・バーデンなど)、身体能力を誇示する者(マシュー・バーニーなど)、ギャラリーの床下で自慰行為を行ったコンセプチュアル・アートに近い者(ヴィト・アコンチ)もいる。
参考文献
『パフォーマンスアート・未来派から現在まで』 ローズリー・ゴールドバーグ (Performance Art: From Futurism to the Present、ISBN 0500203393)
外部リンク
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