トランスポンダ(Transponder)はTRANSmitter(送信機)とresPONDer(応答機)からの合成語で、受信した電気信号を中継送信したり、受信信号に何らかの応答を返す機器の総称である。 通信分野では中継器、電波応用分野では応答装置とも呼ばれる。略称トラポン。
通信衛星、放送衛星などの人工衛星に搭載し、地上から送られた微弱な電波を受信し、地上に送り返すために電力増幅するための中継器である。使用する周波数帯は地上から衛星向け(アップリンク)と衛星から地上向け(ダウンリンク)の組み合わせが国際的な取り決めによって規定されている。送受の1系統で1チェンネルを構成する。通信衛星や放送衛星ではトランスポンダを数十台搭載して、割り当てられた帯域をカバーしている。通信・放送衛星の運用事業者はトランスポンダの帯域を通信事業者や放送事業者などに販売することで事業を行う。
技術的には、アップリンク周波数の受信機能と、周波数変換機能、ダウンリンク周波数の送信機能、および、受信デマルチプレクサ、送信マルチプレクサからなり、そのほか各種制御機能、機器の監視機能を持つ。送信機用電力増幅器は静止衛星用の大電力のものは殆ど進行波管(TWT)を使用し、中小電力のものでは半導体素子を用いた固体増幅器(SSPA)を用いるものもある。
マイクロ波帯の電波が使われる。通信衛星では、Cバンド(4/6GHz)、Kuバンド(12/14GHz)、Kaバンド(20/30GHz)が使われる。放送衛星(通信衛星を用いた衛星放送も含む)では、Kuバンドが使われる。通常は同じバンド電波の組み合せでアップリンクとダウンリンクを構成するが、異なるバンドでも可能である。このようなトランスポンダーをクロスストラップ・トラポンと呼ぶ。
光通信においては、光ファイバと電気信号との双方向変換を行う機能部のことをトランスポンダと呼ぶ。
航空交通管制 (ATC: Air Traffic Control) においては、二次監視レーダ (SSR) システムを使用して飛行中の航空機を識別している。このために航空機側に搭載する応答装置(応答機)をATCトランスポンダ(ATC Transponder, ATC XPDR、航空交通管制用自動応答装置)という。
上記のような、常時働いている機能の他に、特定の航空機を目立たせる機能がある。管制官の要請に応じてアイデントボタン(ふつう装置だけでなく操縦桿にもついている)を押すと、20秒間だけ応答パルスにIDパルスが追加され、地上のレーダスコープ上ではその航空機が明るく表示される。
軍用では敵味方識別装置 (IFF: Identification Friend or Foe) がATCトランスポンダと同様の機能を持っている。
電気信号だけでなく、音響信号に対して応答するソーナー・トランスポンダーも捜索救助などのために用いられる。
RFID(ICタグ)システムにおいて、RFIDを内蔵したICカードなどのタグもまたトランスポンダと呼ばれる。
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