トマスは、新約聖書に登場するイエスの使徒の一人。アラム語の原義は「双子」。彼に由来する男性名としても一般的に用いられている。ディディモは「双子」をギリシャ語に訳したもの。ロシア正教会とその流れを汲む日本ハリストス正教会ではフォマ。
福音書の一部写本や外典に「ユダ・ディディモ」とあり、本名ユダのあだ名とも考えられる。「双子」の名がなぜ付いたか、誰と双子なのかは不明。
使徒トマスに関して新約聖書では十二使徒の一人として挙げられるほかは、「ヨハネによる福音書」に以下の記述があるのみである。
「ヨハネによる福音書」では情熱はあるが、イエスの真意を理解せず、少しずれている人物として描かれている。(ヨハネ11:16参照)ヨハネ20:24-29ではイエスが復活したという他の弟子たちの言葉を信じないが、実際にイエスを見て感激し、「私の主、私の神」と言った。またイエスのわき腹の傷に自分の手を差し込んでその身体を確かめたとも。
これを西ヨーロッパでは「疑い深いトマス」と呼ぶ。この故事は後世、化幻説に対し、イエスの身体性を示す箇所としてしばしば参照された。またトマスの言葉はイエスの神性を証するものとして解釈された。そのような解釈では、トマスの言動はイエスが神性・人性の二性をもつことを証ししたと解される。
東方正教会では「研究を好むフォマ」と呼び、復活祭後の主日を「フォマの主日」と呼んで、八日後にトマスがイエスにあった際の言動を記憶する。
新約外典の「トマスによる福音書」はトマスの名を冠しているが、本人の作ではなく、彼を信奉するグループの手によるものと考えられる。 「ヨハネによる福音書」における上記トマスに関する記事は、トマス信奉グループへの対抗意識の表れではないかと、Elaine Pagelsは指摘する。
トマスはインドまで赴いて宣教し、そこで殉教したとされているが、史実的な裏づけはない。
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