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テレビ電話(てれびでんわ)とは、電話ビデオカメラモニター画面を組み合わせて、相手の顔を見ながら話すことができるシステムの名称である。

なお、テレビ電話と言っても、モニターとしてテレビ受像機を使う場合もあるが、テレビとは直接の関係はない。「テレビ電話」の概念を一般に啓蒙したのは、手塚治虫漫画鉄腕アトム」が有名であり、当時からこの用語が定着していると言える。

比較的以前より、名称及び概要は一般にも知られていたが、一般向けの普及品が出たのは、21世紀に入る前後のことである。現在、固定電話ISDNIP電話)のほかに携帯電話PHSNTTドコモFOMAPHSボーダフォンVodafone 3Gなど)でも利用できる。

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なお、この項では専用のテレビ電話端末を用いたテレビ電話について記述する。PC同士で行う、ビデオチャット等は考慮しない。

登場前夜


テレビ電話の初登場

テレビ電話が初めて、人々の前に現れたのは1970年に開催された大阪万博で、大阪東京間を結んだのが最初と言われている。その当時は小さいカメラも無く、かなり大きくて、かつ高価な物であった。通信回線も専用回線を使うなど、一般には夢のまた夢の話であった。その後も電電公社のブースなどでPRはされていた。

静止画テレビ電話

1987年頃になって、市場に「テレビ電話」が発売された。ソニーが発売した「みえてる」が元祖である。しかし、頭に「静止画」が付いていた。読んで字の如く1分間に数フレームかつ白黒で、実用的な物とは言えなかった。当時の通信回線の速度を考えるとこれ以上の物は作れなかった。また、当初はVTRのように互換性のない2つの規格が並立していた(結局は後に一本化された)。

各種サービス


実用的なテレビ電話登場には、日常的に使える高速回線の整備が重要であった。21世紀間近になり、実用的なテレビ電話が出てくる事になった。

DDIポケット

1999年9月にDDIポケット(現ウィルコム)より発売された、京セラ製端末のVP-210が世界初の移動体電話上のテレビ電話と言われている。カラーで1秒間に2フレームという当時の技術的な限界のため実用的とは言い難かった。携帯電話に先んじて開始したサービスだったが現在は端末は生産中止となっている。

FOMA(W-CDMA)

2001年10月にNTTドコモでサービスを開始したFOMAでは、W-CDMA共通規格の一環として、テレビ電話をサービスの柱に掲げることになった。FOMA第一弾のP2101Vからテレビ電話が可能であり、1秒間に15フレームとなった。2004年末よりドコモでは積極的にPRしている。一番出回っているテレビ電話端末と言えるであろう。FOMAでは900iから「キャラ電」と呼ばれるアバター機能を搭載し、自分の顔の変わりにキャラクター画像も相手に送り届けることができるようになった。901iSより、音声電話中でもテレビ電話に切り替えられるようになった。途中切り替えはドコモ独自の機能拡張で、旧機種及び他社間では切り替える事は出来ない。

FOMAの普及に伴い、テレビ電話に対するワン切りという手口も生まれた。理由として、FOMAでは電話番号でメールが届くSMSが有り、そのメールを送るための情報収集が目的と言われる。

なお、同じ通信方式を使用するボーダフォンVodafone 3Gや、海外でW-CDMA(UMTS)を採用するキャリアにおいてもテレビ電話を提供しており、FOMAとの互換性もある(FOMA端末内でアバターデータのデコードを行って送信しているため、Vodafone 3Gでのキャラ電画像の受信も可能)。

FOMAを含む第3世代携帯電話は全て、テレビ電話の技術として、動画にMPEG-4ビジュアル、音声にAMRを用いる「3G-324M」規格を採用している。 W-CDMAのテレビ電話は、64kbpsの回線交換データ通信で実現されている。

NTT(東西)のひかり電話の回線に接続したVP1000と、FOMAとの間でのテレビ電話サービスを開始。

ドコモPHS

2002年7月にドコモPHSにも、FOMA「P2101V」の筐体を流用した、P751vという端末が登場している。性能的にもFOMA対応のP2101vをPHSに対応させただけの内容になっている。当時はFOMAのエリアが狭かったので、こちらの方が実用的だったが、PHSにしては大型過ぎる、パソコンに繋いでのデータ通信が出来ない事などにより、あまり売れなかった。また、@FreeD対応端末向けにパソコンに差して使える、テレビ電話ソフトが提供された。

ボーダフォン3G(W-CDMA)

2002年12月にサービスインした旧・J-フォン(現・ボーダフォン)の3GサービスVodafone Global Standard(VGS)においても、「TVコール」の名称でW-CDMA規格のテレビ電話サービスが開始され、対応端末(V-N701, V-SA701)も提供された。しかしVGS自体があまり普及しなかったため、TVコールの利用者もあまり増加しなかった。

2003年には社名がボーダフォンとなり、それに伴って「10の約束」と称する公約を発表、その中で「TVコールサービスが通話と同じ料金に」と謳った。しかし翌2004年には10の約束は反故にされ、テレビ電話は音声通話の1.8倍へと値上げされた。

同年12月には、サービス名をVodafone 3Gと変更し、国内での本格的なサービス普及に向けて、海外製を含む7端末を投入した。とくに、ソニー・エリクソン802SEは、折りたたみ筐体のヒンジ部に回転式カメラを備え、一般の写真撮影だけでなくテレビ電話の自分撮りもメガピクセルカメラで行えるユニークな機種であった。

なお、同じ通信方式W-CDMA(UMTS)を使用するNTTドコモFOMAや、海外の一部のキャリアとの間で相互にテレビ電話が可能である。 海外ローミング中のテレビ電話も可能。

ISDNテレビ電話

ISDNにおいては、開発当初からテレビ電話を想定し、音声・映像各64kbpsで2チャネルという帯域が決定された。

ISDN回線を利用したテレビ電話も量産機が開発された当時は静止画が主力だったが、画像圧縮技術の進歩や高速なプロセッサが開発されたこととINS64の2Bチャネルを利用し、その1/3の帯域をADPCM音声(通話)に、2/3を動画とバランスよく配分する事で比較的ストレスの無い動画と音声の送受信を行えるようになった。

一般的なISDNテレビ電話端末では秒間15フレームを実現しており、30万画素程度の解像度を持つカメラを搭載する。 ISDNの特性(デジタル回線交換)から送受信時のデータの損失がほとんど無いため、環境に依存せず、開発時に見込まれた動作を忠実に再現できるのも大きな特徴である。

多くの製品は通常の電話機に液晶モニターとカメラが組み込まれた形状をしている場合が多く、テレビ電話としては最も一般的で完成された形を見る事ができる。通信方式もほぼ規格が確立され、各メーカー間である程度統一されており、片側64Kの通信速度を利用した静止画や低画素の下位通信方式にも対応できるようにしたため、アナログ方式のテレビ電話とも通信できる製品が多い。

1990年にITU-T H.261(画像圧縮の国際規格)が提唱された事を受け、一気に開発が進められ、1997年を境に医療、教育、マスメディアの現場を中心に急激に普及した。それを受けてテレビ番組等で視聴者宅等とスタジオをテレビ電話で繋ぐ際などにも、多くの場合ISDN用テレビ電話が用いられる。

こうした際に使用される代表的な機種として三菱電機がNTTにOEM供給した廉価端末のPhoenix miniがあり、高級機としては日立製作所がNTTに PICSEND-RIIの名称でOEM供給を行ったHV-31等もある。さらにPhoenix miniの後継機としてFOMAとの連携を果したモデルも登場している。

ほぼ全てのモデルが多地点会議に対応しており、HV-31等一部の高級モデルには特定端末自体がホストとなり、それぞれの端末を掌握して特別なサービスを介する事無くテレビ会議が行えるようにした製品もある。

テレビ番組や企業、医療、教育の現場で活用されるテレビ電話の多くはISDN回線を介している。これは敷設が比較的容易な事と、携帯電話タイプに比べて画面が大きく見やすい事、電話と同様に操作が容易であること、機器の仕様や規格の互換性が高いこと、またビデオ映像や音声を外部に取り出すといった扱いが容易であることなどが要因とされ、そのような業界では、固定テレビ電話ならIP網よりはISDN網、という定評を得ている。

IPテレビ電話

IP電話におけるVoIPと同様に、ビデオ信号をIP(Internet Protocol:インターネットプロトコル)ネットワークで伝送する。Video VoIP(VVoIP)とも言う。ブロードバンド回線に接続するIP電話機の形態を取るものが多く、1秒間に15~30フレーム程度を送受信できることが多い。特に、光ファイバーをアクセス回線とする場合、動画の円滑さはほとんど問題ないレベルに到達している。

IP電話と同様に、電話サービスとして電話番号が割り当てられる場合がある。また、同じネットワーク間では通話料がかからない場合がある。IPテレビ電話の分野は、現在は市場黎明期で規格が乱立状態にあり、主流になっているものはない。

テレビ会議システム

  • ISDNテレビ電話においては電話会社の多地点接続サービスを介してリング状に端末をリンクさせ、テレビ会議を行う方法が一般的だが、HV-31等、一部の高級機を利用した場合は当該端末がホストとなり、特別なサービスを介する事無く最大6人程度まで同時接続を行う事ができる。
  • 最も一般的なテレビ会議システムには企業向けに開発されたテレビ会議の専用端末で魚眼レンズ(広角レンズ)を用いて会議場全体を撮影し、会議室と会議室を結ぶホットラインが構築できるものがあるが、今のところ多くの場合2端末間の通信に限定されており多地点ではなく、利用範囲も限られる場合が多い。
  • このほか、IPテレビ電話による多地点テレビ会議サービスなどもあるが、規格が統一されていない等の理由から全ての端末を同一機種にする必要があるため、今のところあまり普及していない。
  • また通信速度、画面の大きさや解像度等の制約などから、携帯端末を用いた多地点会議システムは今のところ現実的ではない。

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普及について


現在のところテレビ電話は一般の家庭やオフィスに広く普及しているとはいいがたい状況にある。すなわち、クリティカル・マスの普及率に至っているものはない(現在、FOMAが最も普及している模様)。その理由として以下のような点があげられる。

  • 技術的・経済的な問題
    • 対応端末が比較的高価である。特に携帯電話の場合、一般的な写真撮影用の外向きのカメラ(アウトカメラ)とは別に、テレビ電話での自分撮り用のカメラ(インカメラ)が必要となる場合が多く、端末価格を押し上げる原因となっている。
    • 携帯電話の場合、画面を見るためには携帯電話を顔から離す必要があり、音声通話がやりづらくなる。かといって、自分の声や受話音量を大きくすると、周囲に迷惑となるおそれがある。
  • 心理的・環境的な、あるいはプライバシーセキュリティに関する問題
    • 相手の顔を見ながら話すので、時と場合によっては緊張してしまう。見知らぬ相手や、突然電話が掛かってきた場合には特にそうである。(この場合、いきなりテレビ電話の画像表示をさせるのではなく、ユーザに選択させるようなユーザーインターフェイスが重要であり、一部端末ではそのような機能を実装している。)
    • 特に女性の場合は、相手がある程度以上に親しい間柄でもない限り、自宅ですっぴん顔で画面に出る事に抵抗がある。テレビ電話の映像性能の高品質化により、この傾向に拍車がかかる。「キャラ電」はこのような事情への対策機能と言えるが、テレビ電話の存在意義からいって本末転倒という意見もある。
    • 背景として周囲の様子も一緒に映るため、自宅で汚い部屋の場合はみっともない、オフィスであれば機密情報が映るおそれがある、外だと居場所がわかってしまう、といった問題がある。

以上のように、技術的・経済的な問題だけではなく、心理的・環境的な問題が多くを占めている。 従来の電話はすでに130年の歴史を持つシステムであり、われわれの電話というものに対する認識・習慣は、よくも悪くも「音声しか伝わらない手段」という大前提のもとに成立している。テレビ電話はその大前提を覆すサービスであるがゆえに、利用者側の認識や発想の転換が必要であり、そこに本格的な普及への難しさがあるということができる。現在、固定テレビ電話の一部には相手の声を確認してから自身の映像の送信を開始できる機能を持つものもある。

関連項目


電話 | 携帯電話

Videophone | Visiophonie | Videophone | Telefon video | 可视电话

 

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