システイン (cysteine) はアミノ酸の1つで側鎖にチオール基を持つ。チオセリンとも言う。略号は C あるいは Cys。酸性条件下では安定だが、中・アルカリ性条件では微量の重金属イオンにより容易に空気酸化されシスチンとなる。酸化型のシスチンと対比し、還元型であることを明らかにするために CySH と記されることもある。
親水性アミノ酸、中性極性側鎖アミノ酸に分類される。含硫アミノ酸。蛋白質構成アミノ酸のひとつで、非必須アミノ酸。糖原性を持つ。
少量ではあるが大部分の蛋白質にみられる。誘導体である N-アセチル-L-システイン (NAC) は一般的なサプリメントであり、抗酸化剤のグルタチオンへと代謝される。システインの名はシスチンから付けられたが、これはギリシャ語で膀胱を意味する kustis に由来する。シスチンは腎臓結石から最初に単離された。
赤唐辛子、ニンニク、タマネギ、ブロッコリー、芽キャベツ、オート麦、小麦胚芽に含まれる。体内ではメチオニンから作り出される。
システインはタンパク質を分子間で架橋させることができる。これにより、細胞外の厳しい環境での分子の安定性が向上し、タンパク質分解に対する抵抗性が与えられる(タンパク質の排泄にはコストがかかるので、その必要性は最小限に抑える方が有利である)。細胞内において、ポリペプチド中のシステイン間のジスルフィド結合はタンパク質の2次構造を維持する。インスリンはシステイン架橋されたペプチドの代表例であり、2つの独立したペプチド鎖が1組のジスルフィド結合によってつながれている。毛髪においては、システインによるジスルフィド結合の配列が巻き毛の度合いを決める。
ジスルフィド結合の生成はタンパク質ジスルフィド異性化酵素によって触媒される。細胞内でデヒドロアスコルビン酸が小胞体へと輸送され、酸化的な環境を作り出す。ここでシステインはシスチンに酸化され、求核剤としての作用を失う。
パーソナルケアの分野では、主にアジアでパーマネントウエーブに用いられる。システインは髪のケラチンのジスルフィド結合を切断する。
生体分子の構造・動態を研究する際に行われる部位特異的標識実験の対象としても一般的である。マレイミドはマイケル付加によって選択的にシステインと結合する。電子スピン共鳴での部位特異的スピン標識にも用いられる。
誘導体の N-アセチルシステイン (NAC) はしばしば鎮咳剤として用いられる。これは、粘液中のジスルフィド結合を切断して液状化させ、痰を切れやすくするためである。既に述べたようにサプリメントとしても使われる。
タバコ製造業の上位5社の1994年の報告によると、システインは紙巻タバコへの599の添加物のうちの1つである。他の添加物と同様、添加の目的は明らかにされていない。
メチオニンがメチオニンアデノシルトランスフェラーゼ (EC 2.5.1.6)、メチルトランスフェラーゼ (EC 2.1.1.-)、アデノシルホモシステイナーゼ (EC 3.3.1.1) によりホモシステイン (homocysteine) となり、これがシスタチオニン-β-シンターゼ (EC 4.2.1.22) によりセリンと結合してシスタチオニン (cystathionine) を経てシスタチオニン-γ-リアーゼ (EC 4.4.1.1) によりシステインとなる。
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