サーチ・ギャラリー (The Saatchi Gallery)はロンドンにある現代美術専門の美術館。2003年の春から2005年秋までの間はサウス・バンクにあり、1986年にサッチャー政権下で廃止されたグレーター・ロンドン・カウンシル(大ロンドン市会)が入居していた、古いロンドン市庁舎(カウンティ・ホール)を使用していた。2006年に一時閉館し、2007年初頭にロンドン南西のチェルシー地区に新規開館する予定である。
ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(Young British Artists、略称YBA)と呼ばれる、1990年代に一躍有名になったイギリスの若手アーティストの作品が充実しており、ジェイク・アンド・ディノス・チャップマンやダミアン・ハースト、トレイシー・エミン、サラ・ルーカス、リチャード・ウィルソン、ゲイリー・ヒューム、クリス・オフィリ、レイチェル・ホワイトリード、サム・テイラー=ウッドなどの、刺激的でインパクトのある作品が揃っている。すべてチャールズ・サーチという人物の個人コレクションであり、コレクション数は3000を超えるという。
広告業界の大物がまたコレクションを開始したこと、しかも今度は若く反抗的で不愉快な作家ばかりだということで、サーチのコレクションは美術ファンや大衆タブロイド紙から猛攻撃を浴びた。その一方、ブリット・ポップなど音楽・文学・ファッション・映画に渡る1990年代前半のイギリスの若者文化の隆盛にともない、イギリス美術も急速に世代交代し若い世代の注目を集めることになる。サーチはこれら、ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBA)と呼ばれるようになった若い美術作家たちの最大の保護者として、注目され始めたばかりの作家の作品を次々買い上げていった。彼らは後にターナー賞を相次いで受賞し、商業ギャラリーも彼らの作品を扱うようになるなど、サーチ効果は抜群だった。サーチ・ギャラリーはこれら新しく集めたコレクションを常設展示する場所となった。
このころからサーチはコレクションの軸足をイギリス以外のヨーロッパ大陸の若手画家たち(リュック・タイマンスなど)に移し始め、2005年初頭から開かれた『絵画の勝利('The Triumph of Painting')』というタイトルの常設展では、YBA作家はほとんど展示されずもっぱら絵画(ペインティング、油絵やアクリル画など)のコレクションが公開された。また、YBAの作家の代表作でサーチ・ギャラリーの目玉だった作品群を一気にオークションに掛け、イギリスからダミアン・ハーストらの代表作がアメリカなどへ流出する事態になった。
またカウンティ・ホールのオーナー(日本企業である白山殖産)との賃料をめぐるトラブルがあり、サウス・バンクを離れてチェルシーの使われていない陸軍兵舎跡に移転することが2005年9月に発表されている。2005年10月にサーチ・ギャラリーは白山殖産との裁判で敗訴しカウンティ・ホールから退出した。2006年の一年間は、2007年初頭のチェルシーでの再オープンに向けた準備を行っている。
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