サイドカー
サイドカー(Sidecar)とは、オートバイや自転車などの二輪車の横にもう一輪の車輪を取り付けた、変則的な三輪車、あるいはその横に取り付ける部分のことを言う。側車とも呼ぶ。
サイドカーは、荷物や人の輸送用・軍用などとして広く使われていた。しかしその後、軍用としてはジープ(アメリカ軍)・キューベルワーゲンやシュビムワーゲン(ドイツ軍)などの本格的四輪軍用車が登場したことによって、輸送用としてはオート三輪を経て四輪のトラックや乗用車が広まったことによって、実用性を失っていった。
独特の操縦性やオープンエア感覚などもあり、実用性を失ったあとも根強いファンがいる。ただし、希少性が増すにつれて、非常に高価な乗り物となってしまい、趣味性の強化とのネガティヴなフィードバックループに陥っている。
舟を取り付ける側は、一般に右側通行の国ではバイクの右、左側通行の国ではバイクの左である(四輪車の運転席と同じ側にオートバイが来るようにする)。パレードなどに使われる儀杖用のものの場合、左右のものを組み合わせてシンメトリーに配置することもある。
現在では、「オートバイの車体+サイドカーのフレーム」という構成にはせず、全体をサイドカー専用設計としたものもある。また、そういった設計のものの場合には、オートバイ本体とサイドカー側の舟は独立しておらず、一体のデザイン(クラウザー・ドマーニ等)とされる。
技術的には、サイドカーをつけている場合にはオートバイ単体のように、降りて引っ張って人力で後退させるということが困難であるため、バックギアあるいはバック走行用のモーターを持つものが多いという特徴を持つ。また、まれにサイドカー側の車輪をも駆動して走行性能の向上を目指したものがある(「陸王97式陸軍サイドカー」、ロシア製ウラル、ドニエプルなど)ウラル社のUralサイドカーは日本代理店もあり2輪駆動モデルが現在も新車が販売されている。
一般に、乗り物は左右のどちらにコーナリングするにしてもおおむね似たような挙動をとるものが多い。しかしサイドカーの場合、左右の挙動が全く異なる。また、加速・減速の際にも、片側に大きな質量を抱えているため、まっすぐには走らない。具体的には、加速する際にはサイドカーをつけている側にハンドルを取られ、減速する際にはサイドカーをつけていない側にハンドルを取られる(これらは、調整などによって多少は軽減できるが、全くそういう傾向をなくすことは困難である)。ロシア製ウラル・サイドカーのようにサイドカーの車輪も駆動する2WDモデルでは上記のような車体の挙動変化が穏やかになる傾向がある。
そういう意味でも、実用性という点ではいまひとつであり、趣味性がクローズアップされる乗り物となっている。
なお、「オートバイ+α」と受け止められているため小さなものというイメージがあるが、実際には普通の乗用車などより幅が大きいことが多い、かなり大柄な乗り物である。
ロードレースに匹敵するものとしては、ニーラーと呼ばれる非常に車高が低い特殊なサイドカーを使ったものがある。ニーラーは、オートバイとサイドカーが、フレームやカウリング(風除け)なども含めて一体でデザインされたものとなっている。通常のオートバイとは異なり、ドライバー(操縦者)およびパッセンジャー(同乗者)のいずれもがひざで体重を支えるような乗車姿勢を取る(ゆえに、ニー-膝-から、ニーラーと呼ばれる)。
モトクロスに匹敵するものとしてサイドカーモトクロス、トライアルに匹敵するものとしてサイドカートライアルというものもある。これらは、ニーラーに比べるとだいぶオートバイの原型を残している。
これらのサイドカースポーツに共通しているのは、「ドライバーがひとりで操縦するものではない」ということである。コーナリングなどの際には、パッセンジャーの体重移動なども大きく影響するため、ドライバーとパッセンジャーのそれぞれが高い技術を持っていることだけでは足らず、ふたりの息がどのくらい合っているかによっても成績が左右される。これは、ラリーやパワーボートレースなどとも共通する要素であり、モータースポーツとしては独特の分野を築いている。
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