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[[画像:Nucleus ER golgi ex.jpg|thumb|right|400px|図1 核、小胞体とゴルジ体: (1)核 (2)核孔 (3)粗面小胞体 (4)滑面小胞体 (5)リボゾーム (6)輸送される蛋白質 (7)ゴルジ小胞 (8)ゴルジ体 (9)ゴルジ体シス面 (10)ゴルジ体トランス面 (11)ゴルジ偏平嚢 (12)分泌小胞 (13)原形質膜(細胞膜) (14)エキソサイトーシス (15)細胞質 (16)細胞間基質 ]] ゴルジ体ごるじたい, 英語: Golgi body)は、真核生物細胞にみられる細胞小器官の1つ。発見者のカミッロ・ゴルジ(Camillo Golgi)の名前をとってつけられた。ゴルジ装置Golgi apparatus)、ゴルジ複合体Golgi complex)あるいは網状体dictyosome)とも言う。へん平な袋状の膜構造が重なっており、分泌タンパク質や細胞外タンパク質の糖鎖修飾や、リボゾームタンパク質のプロセシングを行う。

構造


静的構造

直径0.5μm程度の偏平な袋状の膜構造(ゴルジ偏平嚢; Golgi cisternae)が密に、ほぼ一定の、20~30nm程度の間隔を置いて重なっており、を半ば取り囲むように存在(動物細胞に良く見られる)する、あるいは独立した細胞小器官として存在(植物細胞に多い)するなど全体の形状は様々であるが、多くの場合軽く湾曲して明確な背腹性を示している。通常、核に近接して存在し、動物細胞では中心体付近に位置する。膜系の枚数は、種子植物の場合は7枚のものが多いが、その他の生物ではより多くの層からなり、まちまちである。各膜胞の辺縁部やゴルジ体両面の層は網目状となっており、小胞体核膜あるいは細胞膜といった他の膜系とつながっている。

ゴルジ体は小胞体と近接して存在することが多く、小胞体側の網目構造をCGN(Cis Golgi Network; シス・ゴルジ網)、反対側の面の網目構造をTGN(Trans Golgi Network; トランス・ゴルジ網)と呼び、ゴルジ体の成層部分も小胞体側からシス嚢中間嚢トランス嚢の三つの部分に分類される。特に成層部分をまとめてゴルジ層板(Golgi stack)と呼ぶこともある。

ゴルジ体は、小胞体側にあたるシス側とその反対側であるトランス側とで、膜蛋白質の酵素活性などいくつかの点で大きく異なり、その果たす役割もかなり明確に分かれている。

動的構造

ゴルジ体の各層・網間では、常に小胞(ゴルジ小胞(Golgi vesicle))の生成(出芽)、交換と取込み(融合)を繰り返しており、これを通じて各層間の物質の授受が行われている。同様の機作で周辺の細胞小器官との物質の授受(特に小胞体-CGN間)やTGNからの分泌小胞分泌顆粒リソソームおよびエンドソームの形成なども行う。ゴルジ体の蛋白質の分類と輸送についてはある程度の知見が得られているが、まだ不明な点が多い。

ゴルジ小胞の交換(小胞輸送と呼ぶ)は、機能としては小胞体からゴルジ体を通じて細胞内外に分泌される方向が主(通常の輸送経路と呼ばれる)で、分泌蛋白質などはこの小胞の内腔に取込まれ、あるいは膜蛋白質として輸送される。

これと平行に逆方向の輸送を行う経路(返送経路と呼ばれる)も存在する。小胞体に存在するべき蛋白質(小胞体蛋白質(ER resident protein))も通常の輸送経路によりゴルジ体へと移行するが、ゴルジ体ではこれらの蛋白質に存在する小胞体保留シグナル(ER retention signal; シグナルペプチドの一種。ペプチドのC末端に存在する-Lys-Asp-Glu-coo-あるいはこれに類似した配列でKDEL配列とも呼ぶ)を認識し、これをゴルジ小胞に集めて返送経路に乗せ、小胞体に返す働きがある。実際には小胞体やCGNの膜蛋白質として存在するKDEL受容体により行われる。返送される小胞体蛋白質の中には結合蛋白質(BiP; Binding Protein)と呼ばれる蛋白質があり、これは蛋白質としての畳み込みに問題があるペプチドを識別し、結合する働きがあり、結果として小胞体からゴルジ体へと誤って輸送された未熟な蛋白質などを小胞体に送り返す機能を果たしている。

なお、通常の輸送経路はプレフェルジンAにより、また、返送経路はノコダゾールにより阻害される

小胞の輸送には常時一定の速度で行われる構成的なもの(バルク輸送(Bulk flow)と呼ぶ)と、外部からの刺激によって始まる調整的なものがある。バルク輸送の速度は、粗面小胞体に蛋白質を注入し、その半分の量が細胞外へ運び出される時間でおおむね1~3時間程度であるが、ごく短いペプチドでは10分程度と速くなる。分泌小胞はバルク輸送に、分泌顆粒は調整的輸送の際に現れる。

構造の維持

ゴルジ体は細胞分裂時に、全体が一旦数百の小胞に分断され、細胞全域に均等に分布した後、分裂終了後に改めて集合、再構成されることが知られている。小胞輸送と並び、ゴルジ体の構造を維持・制御する機構として研究が進められている。

機能


分泌タンパク質や細胞外タンパク質の糖鎖修飾や、リボゾームタンパク質のプロセシングなど、小胞体(粗面小胞体)により生産された各種前駆体蛋白質の化学的修飾を行うとともに、各々の蛋白質を分類し、分泌顆粒、リソソームあるいは細胞膜にそれぞれ振り分ける働きをもつ。また、分泌顆粒そのものの生成(特にゴルジ体により生成される小胞をゴルジ小胞と呼ぶ)も行い、細胞外へ分泌などを行う。また、これらの移送に伴い、脂質の輸送も行っているといわれている。

各層の機能と特徴

  • CGN
    リソソーム蛋白質にある糖鎖のリン酸化、小胞体蛋白質の選別・回収
  • シス嚢
    マンノースの除去
    OsO還元能を持つ
  • 中間嚢
    マンノースの除去、N-アセチルグルコサミンの付加
    N-アセチルグルコサミントランスフェラーゼI、NADPアーゼ
  • トランス嚢
    ガラクトースの付加
    Galトランスフェラーゼ、チアミンピロフォスファターゼ、硫酸化、リン酸化
  • TGN
    N-アセチルノイラミン酸の付加、蛋白質の選別
    ジアリルトランスフェラーゼ、酸性ホスファターゼ、H+ポンプ

蛋白質の修飾

糖鎖の付加
小胞体から送られてきた蛋白質に糖鎖を付加する。付加は糖残基1つずつ行われ、2~10個程度の付加が行われる。糖鎖の付加は、セクレチンのようにその機能を果たすため必要なものや、糖鎖を失うと正常な構造を維持できないものなどものも存在するが、多くの場合蛋白質の活性発現に重要ではない。おそらく、蛋白質表面に糖鎖を付加することで親水性を高めるのが目的ではないかと考えられている。

脂質の付加
特に小腸においては、脂質を蛋白質に付加し、リポ蛋白質の形に変換する。他の細胞への脂質輸送を行う際に有用と考えられる。

多糖類の合成

粘液の分泌の際に必要な、ムコ多糖類の合成を行う。また、植物細胞においては細胞壁の形成に必要な多糖類であるセルロースヘミセルロースおよびペクチンの合成も行う。

低分子化合物の分泌

神経細胞において、カテコールアミンの分泌に関与している。

蛋白質の選別

細胞内外へと輸送される蛋白質の選別は、主としてTGNにおいて行われる。

関連項目


細胞生物学

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