Tdkc60cassette.jpgのカセットテープ(東京電気化学工業=TDK製)]] compactcassette_sony_01.jpg頃のカセットテープ(ソニー製) コンパクトカセットのロゴが見える。A面部分の表示は識別用にエンボス入り。]] コンパクトカセットは、オランダの電機メーカーであるフィリップス社が1962年に開発したオーディオ用磁気記録テープ媒体の規格である。通常「カセットテープ」と呼ばれるものは、このコンパクトカセットのテープを指す。
民生用の録音規格としては、1990年代後半から若年層を中心にミニディスク(MD)にその割合を超えられ、2000年代からはMP3プレーヤーも台頭してきたが、普及台数が膨大で価格が安く、また長時間録音に適しているため、現在も使われている。
なお、コンピュータ分野ではCMT(Cassette Magnetic Tape:カセット磁気テープ)と呼ばれていた。データレコーダ参照。
初期はテープ幅の小ささによる性能の制約から、会議録音など業務用のメディアと考えられていたが、1960年代後半以降の性能改善は著しく、1970年代以後は携帯の容易な音楽用メディアとして広く一般に普及した。
「手軽で使いやすい録音媒体」として音楽記録や語学学習などに多く使われてきたが、普及機においては頭出し・リピート等が難しく、また録音するデッキにより音質が大きく変化する(大抵は高額なデッキ程高音質になる)などの欠点があり、1980年代以降CDなどのデジタルオーディオが普及すると、ランダムアクセスに慣れた音楽を聴くライトユーザーからは次第に敬遠される傾向になっていった。
1990年代中盤にはコンパクトカセットの後継として、音声データの記録をデジタルで録音・再生でき、コンパクトカセットとの再生互換性を持たせたデジタルコンパクトカセット(DCC)がフィリップスと松下電器産業との共同開発で誕生した。ほぼ同時にソニーから登場したミニディスク(MD)とポータブルオーディオ戦争を繰り広げるかと思われたが、コンパクトカセットの録音がDCCレコーダーでできなかったこと、テープ方式を引きずったことで結果的にMDの圧勝に終わったことでDCCは姿を消した。
1990年代後半にかけてポータブルMDプレーヤーなどの小型化、再生時間の長時間・大容量化が進み、日本の若年層ユーザーはそれらの新しいメディアへ移行するようになっているが、小売店では粗製品のデッキ(モノラルラジカセなど)と録音済音楽テープが引き続き廉売されており、取り扱いが簡易なこともあって主に高年齢層のコンパクトカセット支持は根強い。
かつて1980年代前半を中心に、パーソナルコンピュータの記憶メディア(データレコーダ)として個人ユーザーを中心に広く利用され、専用の製品も発売されていたが、フロッピーディスクの低価格化と普及に伴い、利用されることはなくなった。
トラック構成は2トラック/1チャンネルのモノラルまたは4トラック/2チャンネルのステレオで、表裏にあたるA/B(メーカーによっては1/2表記もある)各面を、テープ終端になった時点で裏返して使用する。テープ幅は3.81mmで、例えばステレオ(片チャンネル分)の場合、ここからA/B面間と左右チャンネル間の遊びを除いた約0.61mmが実際の録音に使用される幅となる。このA/B各面に、モノラルの時には1トラック/1チャンネル、ステレオの時には2トラック/2チャンネル(右/左)が割り当てられる。 モノラルの1トラックと同じ部分にステレオの場合は左右各チャンネルが分割して録音される方式のため、ステレオ録音のテープでもモノラルのデッキ(レコーダ)で再生出来、その逆も可能。これは、当初はモノラルのみで製品化されて後に音楽用途に合わせてステレオが追加された経緯から、互換性を図ったものと言われている。 尚、オープンリールテープの場合は音質優先(クロストーク忌避)のためにステレオとモノラルのトラック配置が異なっており、再生時の互換性はない。
収録時間は、片方向15分~75分、両面で30分~150分録音できるものが標準的に売られている製品で、C-30からC-150と呼ばれる。規格としては両面180分再生のC-180もあるが、耐久性の問題等もあり製品は殆ど存在しない(TDKの輸出モデル)。また、カラオケ練習用などに1曲だけを演奏するのに便利な短尺の製品(C-10,C-20)も需要が多く、販売されている。 尚、テープの収録時間によって厚みが異なり、標準タイプのC-60で約18μm、長時間タイプのC-90でその2/3の12μm、超長時間タイプのC-120で半分の9μm・・・と段々薄くなり、耐久性は当然悪化するため、高温下で伸び易く、又は過剰なテンションによって切れ易くなる。温度変動が大きい高負荷環境にあるカーステレオや、緻密な走行制御を要する高級テープデッキでC-90以下の使用を推奨しているのはこのため。 最近ではテープ速度を遅くして長時間録音できる「2倍モード」(ソニーのレコーダーに搭載)や「3倍モード」(松下電器産業のレコーダーに搭載)などを搭載したレコーダーもあるが、これらの機能は会議や語学・学習を長時間録音するもので、高い周波数まで再生できないので当然ながら音楽の録音には適していない。
特殊な用途向けに独自の録音方式、又は特殊なテープも開発された。
これらは全てIEC(国際電気標準会議)で正式に策定されている。録音時の磁気特性(主に録音レベル)を決定するバイアス量と、録音・再生時の周波数特性に関わる補正値であるイコライザー (EQ) の時定数がポジションで異なり、本家本元のTypeIのバイアス量を100%とすると、一般的にTypeII=160%、TypeIII=110%、TypeIV=250%(この値は標準的なもので、メーカー、時期、製品により変動がある)。またイコライザーは、TypeIのみ120μs(マイクロ秒)、他は全て70μs。TypeIと比較すると他の70μsEQのタイプはノイズレベルが低いが、これは特に高域の補正量が小さいことに起因している(ごく一部の高級デッキでは、高性能テープの為に補正値を50%程度に調整可能な機能を持つものもあった。当然、IECの規格外であるため、基本的に自己録再が前提となる機能である)。 尚、イコライザーは録音・再生両方で合わせねばならないが、バイアスは録音時のみで良い。メタルテープが録音できないハイポジ対応のみのデッキでもメタルテープが再生できるのはこのため。
主な磁性体の材料としては、まずTypeIには当初から存在し現在でも廉価タイプに用いられるγ三酸化鉄(マグヘマイト;γFe2O3)、主に高級タイプに用いられた、TypeIIIに倣った発想で、特性の異なるγ三酸化鉄を二層塗布したもの(富士写真フィルム/Fx-Duo,日本コロムビア=DENON/初期DX3,DX4)、例は少ないが四酸化鉄(マグネタイト;Fe3O4)のもの (TDK/ED)、そして1980年代に入って開発された、γ三酸化鉄の生成時の内部空孔(ポア)をほぼ無くして磁気効率を改良した無空孔(ノンポア/ポアレス)酸化鉄(TDK/初期AR,日立マクセル=maxell/初期UDI)及びそれのコバルト被着タイプ(前掲機種の後期型)がある。尚、通常のγ三酸化鉄でも微量のコバルトを添加して高域特性を改善しているものも多い。
後にTypeIIの主流になったものの、最初はTypeIの高性能タイプ用に用いられたものに、コバルトドープ酸化鉄 (Scotch/HighEnergy) やコバルト被着酸化鉄 (maxell/UD-XL) がある。特にコバルト被着酸化鉄はその調整の容易さと高域特性改善の面からTypeIでも並行して用いられ、1970年代後期から高級タイプ (TDK/AD-X,maxell/XLI-S) の、1980年代中期以降は普及タイプ(富士写真フイルム=AXIA/PS-I,太陽誘電=That's/RX)にも多用された。
TypeII用としては、最初期こそ代名詞ともなった二酸化クローム (CrO2) が主流だったが、公害問題(六価クロム廃液)等で次第にフェードアウトし、一部で用いられたコバルトドープ酸化鉄 (Scotch/Master70,DENON/初期DX7) 等を経て、現在では殆どがコバルト被着酸化鉄磁性体(CoFe2O4;酸化鉄の表層にコバルトイオンが結晶成長したもの)となっている (TDK/SA,maxell/XLII)。これはコバルトイオンの被着量をコントロールし易い、即ち磁気特性の調整が容易な点が大きく、家庭用ビデオカセットやフロッピーディスク等、幅広く使用された。'80年代終期、この酸化鉄の代わりに前述のマグネタイトを核に用いたものもあり、日立マクセル、日本コロムビア等が採用した(maxell/最終XLII-S,後期UDII)。また、やや先行して3M、マクセル、ビクター、コニカ等のビデオテープにも"ブラック・マグネタイト"等の名称で用いられていた。
TypeIVとしてはいわゆるメタル(純鉄; Fe)のみとなるが、これも酸化に弱いという欠点を克服すべく、各社工夫していた。表面に酸化膜を形成する方法が一般的だが、他にもコバルトイオンを被着したり、セラミックで被覆したりといった例もある。 このメタル磁性体も、1980年代初期よりイコライザーが同じTypeIIへの転用が図られ、極めて高出力な特性を買われて主に高級タイプ (TDK/HX,DENON/DX8) に用いられたが、中には低価格タイプ (That's/EM) も存在する。
TypeIIIは基本的に下層に中低域用のγ三酸化鉄、上層に高域用の二酸化クロムを塗布するものが殆どだが、他にも上層をコバルト被着酸化鉄にしたり、特性の異なるコバルト被着酸化鉄の二層塗布とするものも存在した。
そのTypeIIIがほぼ死滅した1980年代中期、松下電器が「オングローム」ブランドで投入した蒸着テープが存在した。通常の塗布層の上に更にコバルト磁性体を蒸着させるという、発想自体は極めてTypeIII的な製品だった(ポジションは当初TypeII、後TypeI,IVを追加)。蒸着により従来の塗布方式を遥かに凌駕する磁気効率を得て特に高域特性を大幅に改善したものだったが、製造コストの高騰から来る価格設定の高さと、その強力な高域特性のためデッキによって相性の相違が激しく、短命に終わった。この技術は、後にビデオカメラ用テープとして開花することとなる(Hi8のMEタイプ、現在のDVC)。
クロームテープ、メタルテープにはカセットハーフの上部にテープポジション検出孔(画像参照、クロームは誤消去防止ツメの隣り、メタルは中央部)が設けられ、これによりデッキはバイアス、イコライザなどを自動設定する。ただし最初期のメタルには中央の検出孔が存在しない製品もある。
また、TypeIIIにはもともと検出孔は無く、この2者は基本的に手動の対応ポジションセレクターを持つデッキで使用するのが前提(フェリクロム策定元のソニーが当初IECにハーフ中央部をTypeIII用の検出孔として申請していたものの認可されなかったという噂がよく聞かれるが、虚実は不明)。ただ、TypeIIIは磁気特性がTypeIに近い(バイアスが+10%)ため、うまく調整すれば高性能ノーマルとしての使用も可能であるむねメーカーも謳っていた。ただしこの場合、補正カーブが異なるために音質のバランスが変わってしまう可能性が高い。
電器・音響系
流通系
海外(日本国内での正式販売は無い)
※太字:ハイグレードタイプ,斜体:ハイポジション
電器・音響系 国内系
流通系・他
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