Kinesin view.png キネシン(Kinesin)とは、細胞質中に含まれるモーター蛋白質の一種。酵母菌からラット、ヒトを含め広く存在する蛋白質の一群で、この中では最初に発見されたconventional kinesin (遺伝子名kif5)の研究がもっとも盛んに行われている。キネシンは微小管とともに細胞内物質輸送において膜でできた細胞小器官の移動に重要な役割を果たしていることが知られている。
キネシンの微小管上での移動は単分子でも可能で、微小管に結合すると一秒以上微小管に結合したままおおむね1μm程度移動することが出来る。
Hand-over-Hand Model
キネシンの2つのモータードメインが交互に、まるで歩くように、あるいはたぐり寄せるように、前に出て動くという説。その原動力になっているのは、ネックリンカー ((図1)付録の解説および(図2)参照)と呼ばれる領域がATP/ADPの結合解離に応じて前向きに折れ曲がったり離れたりを繰り返す運動ではないかと考えられている。
滑り説
キネシンは微小管上を滑るように移動するという説。右に示した図が、キネシンの活性発現に関し重要といわれる領域の拡大図である。冒頭のキネシンの構造図でいうと、左下から見上げた形になる。
キネシンのモーター領域には、L9 からなるSwitch Iと呼ばれる領域と、Switch II clusterと呼ばれる L11-α4-L12 の領域が存在する。この2つの領域はATPの加水分解に際し、その構造を大きく変化させる。Switch IとSwitch IIのL11にはATPの加水分解に直接関与するアミノ酸残基が存在し、また、SwitchII領域は微小管結合部位となっているが、ATPの加水分解に際し、SwitchIIのL12の部分で、微小管を形成する蛋白質のE-hookと呼ばれる管表面に露出した環状の部分を順次つかみ換えて移動するらしいと考えられている。
なお、E-hookは微小管上におよそ4nmの間隔で存在する。(これは微小管の構成要素であるチューブリンの長さに等しい)一回のATP加水分解で8nm進み、1秒あたり100回以上繰り返す。