カエル(蛙)とは、脊椎動物亜門・両生綱・カエル目(無尾目)に分類される動物の総称。古称としてかわず(旧かな表記では「かはづ」)などがある。
頭は三角形で、目は上に飛び出している。胴体は丸っこく、尾はない。
成体は後ろ脚が特に発達しており、後ろ脚でジャンプすることで、敵から逃げたり、エサを捕まえたりする。後ろ足の指の間に水掻きが発達するものが多く、これを使ってよく泳ぐ。ほとんどの種で肋骨がない。
ほとんどが肉食性で、昆虫などを食べる。陸上で採食するものは、舌を伸ばし、昆虫をそこにくっつけて口に引っ張り込む。口は非常に大きい。 異物などを飲み込んだときは胃袋を吐き出しそれを洗う行動をする。
陸上で生活する種類も多いが、水辺を生活の主体にしているもの、水中生活のものも多い。呼吸の大部分を皮膚呼吸に頼っていて、皮膚がある程度湿っていないと生きていけない。また、海水に入ると浸透圧により体から水分が出て死んでしまう。ただし、例外的に水から離れて生活したり、汽水域に棲む種類も知られる。
変温動物なので、極端な暑さ寒さでは、土中などで休眠する。ふつう日本のカエルは成体で冬眠するが、ウシガエルやツチガエルなどは、幼生が冬を越すこともある。また、アカガエル類やヒキガエル類は、他のカエルが冬眠している1~3月ごろに繁殖行動を行う。
産卵期には、様々な行動が見られる。もっとも一般的なものでは、雄は鳴き声で雌を呼び、雌が近づくと後ろから胸部を前足で抱きかかえるようにして産卵を促し、産卵と同時に放精して受精させる。集団で繁殖するものでは、俗に「かわず合戦」といい、産卵場所でオスがメスを奪い合って互いを押しのけたりする光景が見られる。卵は、水の中に産むものがふつうであるが、水辺近くの植物の葉の上などに産むもの、泡巣を作るものなどもあり、背中や口の中などで卵や幼生を保護する習性を持つものも知られている。
幼生は四肢がなく、ひれのついた尾をもつ。成体とはちがう姿をしていて、俗に「オタマジャクシ(お玉杓子)」と呼ばれる(食器の玉杓子に似た形状から)。オタマジャクシはえら呼吸を行い、尾を使って泳ぐため、淡水中でないと生きることができない。オタマジャクシは変態することで、尾をもたず四肢をもった成体となる。
日本では古来より春の景物とされ、万葉集以来、特に鳴き声を愛でて詩歌に詠む。和歌での「かはづ」は、おもに鳴き声が美しいことで知られるカジカガエルのことを指すが、この語は平安初期ごろから、混同されてカエル一般を指すようになった。俳諧においては、カエル一般を指すと思われる用例が増える。芭蕉の「古池や蛙飛び込む水の音」、一茶の「やせ蛙まけるな一茶これにあり」等の句は特に有名。「蛙」は春の季語で、これは初蛙のイメージから。「雨蛙(あまがへる)」「蟇/蟾蜍(ひきがへる)、蟾(ひき)、蝦蟇(がま)」は夏、「河鹿(かじか=カジカガエル)」は秋の季語である。
鳥獣戯画にも、サルやウサギとともに、人間に擬せられたカエルの姿が、生き生きと描かれている。
南米のいくつかの地域では、カエルは幸運(特に金運)を招くものと考えられている。このため、カエルをペットのように飼ったり、カエルの置物を家に飾ったりすることがある。 また、口を開けたカエルの置物に向かってコインを投げ、うまく口の中に入れることを競う遊びも行なわれている。
貝原益軒の『大和本草』によれば、カエルの名は他の土地に移しても必ず元の所に帰るという性質に由来すると記述されている。
日本では、「お金が返る(カエル)」として、カエルのマスコットを財布の中に入れておく習慣がある。
なお、日本の理科教育においては次第に軽視される傾向にあるが、解剖の実習では蛙が定番である。その他、発生や様々な生理学的実験等にカエルがよく使われる。特にアフリカツメガエルはよく実験目的で飼育される。脳を切除して脊髄反射を見る実験は「脊髄ガエル」という固有名詞がつけられている。
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