Endocytosis.pngエンドサイトーシス (Endocytosis) とは細胞が細胞外の物質を取り込む過程の1つ。細胞に必要な物質のあるものは極性を持ちかつ大きな分子であるため、疎水性の物質から成る細胞膜を通り抜ける事ができない、このためエンドサイトーシスにより細胞内に輸送される。エキソサイトーシスとは反対の現象であり、これとは逆に細胞膜の一部から小胞を形成する。エンドサイトーシスは、取り込む物質の種類やその機構の違いから、食作用(しょくさよう、phagocytosis)と、飲作用(いんさよう、pinocytosis)とに大別される。
エンドソームは後期エンドソームに成熟した後、リソソームと結合したり、ゴルジ体からの小胞と合体し取り込まれたリガンドの消化などが行われる。
白血球のうち、好中球、単球、マクロファージは、食細胞とも呼ばれ、特にこの食作用が発達している。一般に食作用と呼ぶ場合には、これらの食細胞が細菌やウイルスなどの病原微生物や異物を分解し、排除するための機構のことを指すことが多く、免疫システムの重要な一端を担った、生体の恒常性維持機能の一つだと考えられている。
食細胞が食作用によって取り込むには、その対象を異物として認識する必要がある。この認識には、(1)適度な大きさ(数µm程度)であること、(2)表面が正に荷電しているか、あるいは疎水性であること、などが条件となっているが、その条件は抗体などによる選択的な認識に比べて極めて緩く、むしろ非選択的であると言える。このため食作用は、体内に侵入した異物をある程度、非選択的に排除することが可能であり、免疫による生体防御の最初の関門として機能している。なお、認識を免れるような水溶性の高いものや、小さなタンパク質性の異物などに対しても、それに対する抗体や補体が結合して凝集し、免疫複合体(抗原−抗体複合体)が形成されると、結合した抗体や補体などの働きによって、食作用による取り込みが行われる。
一方、病原体にとっては、食作用によって排除されることは不利益につながるため、食作用から逃れるための機構をさまざまに発達した病原体も多く存在する。例えば、一部の病原細菌には、莢膜や粘液層と呼ばれる、多糖類やペプチドなどの分泌物からなる層で自分自身を包み込んだものが存在しており、この構造によって食細胞による貪食を回避している。このことは病原体にとっては生存に有利に働いているが、ヒトなどの宿主にとってはこのような貪食回避機構を持つものは病原性で毒性が強いものとなるため、医学上、問題になることが多い。
またウイルスなどの偏性細胞内寄生体や、宿主細胞内に寄生する一部の細菌(細胞内寄生体:赤痢菌、サルモネラ、結核菌など)は、その増殖の場となる細胞内部に侵入する際に、エンドサイトーシスを利用することが知られている。
ウイルスにおいては、アデノウイルスなどエンベロープを持たないウイルスが細胞に侵入する機構として、一般にエンドサイトーシスを利用することが多い。また、エンベロープを持つウイルスでもインフルエンザウイルスなどは、エンドサイトーシスによる細胞内侵入を行う。
細菌においては、ほとんどの細菌にとって食細胞に取り込まれることは、その後、リソソームの働きによって殺菌されることにつながるが、一部の細菌はエンドソーム膜を溶かして細胞質に逃れたり、エンドソームの性質を変化させてリソソームとの結合を阻害したり、リソソーム中の活性酸素に抵抗性を示すなど、さまざまな手法で殺菌から逃れ、細胞内に感染する。これらの細胞内寄生性細菌には、むしろ積極的にエンドサイトーシスを引き起こすことで、マクロファージや上皮細胞などに取り込まれようとする機構を有するものも見られる。
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