エアバッグ(SRSエアバッグシステム)は、自動車の安全装備の一つで、気体により瞬時に膨らむバッグによって衝撃を吸収する装置である。
SRS=Supplemental Restraint System (乗員保護補助装置)の略。
エアバッグの仕組み
- クルマが衝突するとセンサーが反応。その後センターユニットに信号が送られる。
- センサーユニットからエアバッグモジュールに信号が伝わる。
- インフレーター内でガスを発生させ、エアバッグが瞬時に膨らむ。
- 完全に膨張したら、ただちにガスが抜けエアバッグが収縮する。
歴史
メルセデスベンツが1980年に世界で初めて実用化したといわれている。この開発には1967年から13年かかった。
初期のエアバッグは、ほとんどの車両に搭載されるのではなく、一部の限られた高級車に搭載されたが、次第に乗用車のほどんどにメーカーオプション、ディーラオプションとして搭載されたたり、上級モデルに標準装備されたりした。一時期、エアバッグ発明前の古い車でも装備できるよう、後付エアバッグを製造・販売した会社もあったが、あまり売れず、現在は入手不可能となっている。
初期のエアバッグでは、エアバッグが開いた時に顔面に当たる衝撃で死亡する事故があった。アメリカでは裁判問題にもなった。
また、運転席・助手席のサイド部分に内蔵されているサイドエアバッグ、サイドピラーに内蔵されているカーテンエアバッグ、ステアリング下に内蔵されている下股部を保護するニーエアバッグも搭載されるようになった。その後、乗用車はもちろん、軽自動車、貨物自動車、バスにも搭載されている。
また、今日に発表されている新型車はモジュール設計や幾何学の発達により、助手席エアバッグの分割線がない車種が多い。その主な理由として、質感の向上やドライバーの視線の妨げにならないようにすることを目的としている。
半導体技術を用いて、着火信頼性の向上や反応速度を10倍速める新システムが大手エアバッグ製造メーカーの日本化薬により現在開発されており、2005年ごろにはエアバッグも次世代スペックに移行する予定である。
オートバイ用のエアバッグも開発されている。(#外部リンク参照)先に市販化されたのは、車両本体に装着される自動車のエアバッグと異なり、エアバッグ内蔵のジャケットを着用する形である。これは、多くのオートバイの事故の場合、乗員は車両から放り出されることから、体に密着している必要があるためである。乗馬用ジャケットにも応用されている。車両本体側に装着するエアバッグは、2005年に本田技研工業が試作モデルを発表している。
乗員保護用のエアバッグ以外に、歩行者保護用のエアバッグの開発も行われている。日野自動車は同社が発売する小型トラックデュトロのフロントバンバー下にエアバッグを展開して歩行者の巻き込み事故を防ぐ装置を2004年に発表し、西濃運輸の集配用トラックに採用が予定されている。
各エアバッグの役割
- 運転席エアバッグ
- 助手席エアバッグ
- 助手席のインパネ上から膨らみ、助手席の搭乗者を前面のみ保護するエアバッグである。(日本初搭載車はホンダ2代目レジェンド、1990年発表)
- サイドエアバッグ
- 運転席と助手席のサイド部分から膨らみ、運転席と助手席の搭乗者の頭部を保護するエアバッグで、最近は後席にも装備するモデルが登場している。(日本初搭載車はトヨタマークII、1996年発表)
- カーテンエアバッグ
- サイドピラー部分から膨らみ、運転席と助手席の搭乗者及び後席搭乗者の頭部を保護するエアバッグである。(日本初搭載車はトヨタプログレ、1998年発表)
- ニーエアバッグ
- インパネの下部分から膨らみ、下股部を保護するエアバッグである。運転席のみまたは運転席・助手席用もある。(日本初搭載車はトヨタカルディナ、2002年発表)
- ITSヘッド・エアバッグ
- 運転席および助手席に装備されており、側面衝突時に頭部と上半身を効果的に保護する。 (BMW5シリーズが世界初搭載)
- ヘッドエアバッグ
エアバッグの注意点
- シートベルトを着用する(エアバッグはシートベルトをしている状態を前提としているため。シートベルト未着用状態でエアバッグが作動し、運転手が死亡した事例がある)。
- 助手席に子供を乗せるときはよく注意し、チャイルドシートはできるだけ後席に取り付ける。やむを得ず助手席にチャイルドシートを取り付けるときには、シートを一番後ろまで下げ、かつ前向きにつけること。
- インストルパネルの前に立ったりもたれかからない。またパネル上または近くに物を置いたり、ステッカーやテープを貼り付けないこと。
さらに詳しいことに関しては車の取扱説明書を読むこと
その他
1997年、
火星探査機『
マーズ・パスファインダー』はエアバッグで
火星に着陸した。着陸直前に24個のエアバッグが開き、探査機全体を包み込む構造だった。
関連項目
外部リンク
自動車
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