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インチ(inch) は、ヤード・ポンド法における長さ単位である。現在は1インチ=0.0254メートルと定められている。

1インチはフィート(フート)の12分の1であり、ヤードの36分の1である。すなわち、1インチ = 約0.08333フィート = 約0.02778ヤードである。

記法


インチはinと書かれる他、(ダブルプライム記号)によっても書かれる。例えば30″は30インチの意味である。″はしばしば(ダブルクォート)と書かれる。フィートが′(プライム記号)で表記されるので(で書かれることもある)、例えば5′1″は5フィート1インチを表す。なお、′と″は時間角度を意味することもあるので、文脈によっては混乱を引き起こすおそれがある。

インチの長さは、東アジアで用いられるの長さ(約3センチメートル)に非常に近い。そこで、中国ではインチのことを「英寸」と呼んでおり、日本では明治時代に「吋」という文字が作られた。

歴史


元々のインチは、男性の親指の幅に由来する身体尺であったとされている。古代ローマにおいて、フィートと関連づけられてその12等分した長さが1インチとされた。インチ(inch)という言葉の語源は、ラテン語で「12分の1」を意味するunciaである(なお、質量の単位であるオンスも同一語源である)。また、親指の幅であることから「親指幅」とも呼ばれた。現在でも、多くの言語でこの単位は「親指」という言葉に似た、または同じ名称で呼ばれている。
言語インチ親指
フランス語poucepouce
イタリア語pollicepollice
スペイン語pulgadapulgar
ポルトガル語polegadapolegar
スウェーデン語tumtumme
オランダ語duimduim

これとは別に、次のような説もある。イングランド王エドワード2世が、大麦の穂の中央から取った3粒を縦に並べた長さを1インチとしたというものである。1粒の長さをバーレイコーン(barleycorn)というので、1インチは3バーレイコーンとなる。

国際インチ


「インチ」(またはそれに相当する言葉)は時代によって、また国によって異なった値をとった。それらはほとんど統一された(あるいは、統一される前にメートル法の単位に置き換えられた)が、今日でも「インチ」と呼ばれる2種類の単位が残っている。ただし、2種類あるのはアメリカ合衆国においてのみである。今日、ほとんどの国において、「インチ」といえばそれは国際インチ(international inch)のことを指す。

国際インチは、メートル法に基づいて正確に0.0254メートル(25.4ミリメートル)と定義されている。この定義は、アメリカ合衆国とイギリス連邦の各国が1958年に合意したものである。それ以前は、アメリカとカナダが独自にメートル法に基づいて1インチ=25.40005 mmと定めていた。イギリスとイギリス連邦は、「帝国ヤード標準原器」の12分の1の長さとしており、それは約25.3998 mmであった。

アメリカ測量フィート


アメリカでは、1958年以前に行われた測量の結果の互換性のために、1958年以降も測量のために使われていたインチやフィートの定義を保持している。これをアメリカ測量フィート(US survey foot)という。測量フィートは1メートルが正確に39.37インチとなるように定義されている(ただし、測量においてインチが使われることは稀である)。よって、1測量インチは約25.4000508001 mmということになる。国際インチ(25.4 mm)との差はごくわずかであるが、数千キロメートルもの距離を測定するような場合には、その差が数メートルほどの無視できない差として表われてくる。例えば、測量フィートによる1エーカーは4046.8726平方メートルであるが、国際フィートによる1エーカーは4046.8564平方メートルであり、その差はA6サイズの紙程度である。

thou


工学分野では、thouまたはmilという単位が国際インチの1000分の1(25.4 µm)の意味で用いられることがある。今日では、thouやmilは用いず、SI単位を使用すべきとされている。

thouはthousand(千)の略語として会話の中で用いられる言葉で、thousandの冒頭部のように(サウ)と発音する。thouには「汝(なんじ)」という意味もあるが、その意味の場合には(ザウ)と発音する。

milはミリと同根であり、角度の単位ラジアンの1000分1の単位として用いられることもある(ミル (角度)を参照)。

スウェーデンの十進インチ


19世紀スウェーデンではメートル法への移行が行われた。まず、1855年から1863年までの間で、インチが、フィートの10分の1である十進インチ(約0.3メートル)に置き換えられた。十進法を導入することで計算が単純化されるとして導入されたものであったが、他国で使用されていた12分の1フィートのインチと10分の1フィートのインチの2種類があることで余計に複雑になってしまったことから、1878年から1889年にかけてメートル法の単位が導入されることになった。

日本国内での使用のされ方


「計量法」によりメートル法を基準とする日本においても、以下のような、アメリカを起源とする商品は、互換性の維持のため、製造設備の設計上の理由、または商慣行上、現在もインチ単位を基準に設計、製造される。

インチという単位表記は商法上、本来は商取引には使用出来ない為、と表記される場合が多い。または、表記寸法が、単に25.4mm の倍数となっている。

()内はインチで表される部分の例
特に、インチ規格部品と、ISO規格部品が混在し、製造上問題になるのは、パーソナルコンピュータなどの電子機器である。

関連項目


  • インチネジ -- ねじ山のピッチがISO規格より粗く、インチ単位で作られているねじ。日本国内で生産される商品としては、3.5インチハードディスクドライブの固定用ねじ等に用いられる。現在は、直径4mm以上では、ISOネジと互換性がある。

組立単位


平方インチ

平方インチ(へいほうインチ、Square inch)は、ヤード・ポンド法における面積単位である。1平方インチは、一辺1インチの正方形の面積と定義される。

12インチが1フィートであることから、1平方フィートは144平方インチとなる。1インチが正確に25.4ミリメートルであるので、1平方インチは正確に645.16平方ミリメートルとなる。

1平方インチは以下に等しい。

立方インチ

立方インチ(りっぽうインチ, Cubic inch)は、ヤード・ポンド法における体積単位である。

1立方インチは、一辺1インチの立方体の体積と定義される。1インチが正確に25.4ミリメートルであるので、1立方インチは正確に16387.064立方ミリメートルに等しい。

1立方インチは以下に等しい。

アメリカでは、エンジン排気量はかつては立方インチで表していた。自動車エンジンについては1980年代に立方インチからリットルに切り換えられ、今日ではそれ以前に製造された自動車についてのみ立方インチが使われている。イギリスでは、当初からリットルまたは立方センチメートル(cc)のみを使用しているが、これはメートル法を使用している他のヨーロッパ諸国と取引する必要があったためと考えられる。

関連項目


ヤード・ポンド法 | 長さの単位 | 身体尺

أنج | Инч | Polzada | Tomme | Zoll (Einheit) | Inch | Colo | Pulgada | Pouce (unité) | Hüvelyk (mértékegység) | Inci | Inci | Inch | Cal (jednostka) | Polegada | Дюйм | Inch | Palec | Tum | Дюйм | 英寸

 

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