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イモリ
分類
界: 動物界 Animalia
門: 脊索動物門 Chordates
亜門: 脊椎動物亜門 Vertebrata
綱: 両生綱 Amphibia
目: サンショウウオ目 Caudata
科: イモリ科 Salamandridae
アカハライモリ
シリケンイモリ
イボイモリなど
英名
Newt
イモリとは、両生類・サンショウウオ目(有尾目)・イモリ科に分類される動物の総称。日本にはアカハラ(ニホン)イモリ、シリケンイモリ、イボイモリの3種が分布するが、シリケンイモリとイボイモリは奄美大島沖縄本島とその周辺に分布する。日本本土でイモリといえば、一般的には本土に唯一棲息するアカハライモリ Cynops pyrrhogasterのことを指す。

アカハラ(ニホン)イモリの特徴


全長は10㎝前後で、2対4本の短い足と長い尾をもつ。皮膚にはうろこがないが、サンショウウオと異なり皮膚がザラザラしている。背中側は黒~茶褐色だが、腹は赤地に黒の斑点模様になっていて、赤みや斑点模様は地域差や個体差があり、ほとんど黒いものや全く斑点が無いものもいる。腹が赤いことから「アカハラ」などの別名がある。地域個体群を形態や行動で分けたものと生化学的に分けた種族の考え方がある。

フグと同じテトロドトキシンという毒をもっていて、腹の赤黒の斑点模様は毒をもっていることを他の動物に知らせる警戒色になっていると考えられている。陸上で強い物理刺激を受けると横に倒れてからだを反らせ、赤い腹を見せるしぐさをおこなう。

本州・四国・九州と周囲の島に分布し、水田、池や流れのゆるい川の水中に生息しているが、雨の日には水中から出て移動することもある。和名の「井守」は、野井戸の中にも生息することがあることから「井戸を守る」との意味に由来するという説や、井は田んぼを意味し、水田に生息することから「田を守る」との意味に由来するという説がある。また、冬眠は水中または陸上でおこない、水路の落ち葉の下や水辺近くの石の下などでじっとしている。北海道や伊豆諸島など人為的に移入されたものも増えていて問題である。

名前がヤモリと似ているが、ヤモリは両生類ではなく爬虫類であり、トカゲやヘビの仲間。また、ヤモリは人家の外壁などに生息していて、一生を通じて水中に入ることはなく、また変態もしない。

幼生も成体も、オタマジャクシや昆虫ミミズなどをどん欲に捕食する。特に成体は、カエルやサンショウウオの卵や幼生の有力な捕食者で、モリアオガエルやアベサンショウウオなど、希少な両生類の生息地では厄介者とされる。

アカハライモリの繁殖行動


春になり気温が上昇し始めると、成体は水田などの水中に移動し、オスがメスの行く先にまわりこみ、紫色の婚姻色を呈した尾を身体の横まで曲げて小刻みにふるわせフェロモンをメスの鼻先に送るなど複雑な求愛行動を行う。このときにオスが分泌するフェロモンであるソデフリンが、脊椎動物初のペプチドフェロモンとして報告されている。メスが受け入れる体制になると、メスはオスの後ろについて歩き、オスの尾に触れる合図を送ると、オスが精子嚢を落としメスが総排出腔から取り込む。その際にオスの求愛行動に地域差があり、地域が異なる個体間では交配が成立しにくいといわれる。

生活史


メスは、寒天質に包まれた受精卵を1つずつ産卵する。アカハライモリやシリケンイモリが水中の水草の葉にくるむように産卵するのに対し、イボイモリは、水際の湿った土の上に産卵し、孵化した幼生は跳ねて水中に入る。シリケンイモリも陸上に産卵することも多い。流水に産卵する種類がいるサンショウウオに対し、日本のイモリ3種類は水たまりや池などの止水やほとんど流れの無い川の淀みなどで産卵・発生する。

卵から孵った幼生はアホロートルのような外鰓(外えら)があり、さらにバランサーという突起をもつ。幼生ははじめのうちは足も生えていないが、やがて前足から生えはじめる点でカエルとは異なる。外鰓があるうちは水中で小動物を食べて成長するが、口に入りそうな動くものには何にでも食いつくため、共食いすることもある。

幼生は十分成長すると、外鰓が消えて成体と同じような形の幼体となり、上陸する。幼生の皮膚は滑らかだが、幼体の皮ふは成体と同じくざらざらしており、乾燥には幾分抵抗性がある。そのため、上陸した幼体を無理に水に戻すと、皮膚が水をはじいて気泡がまとわりつき、銀色に見えることがある。幼体は、森林内などで小さな昆虫や陸棲貝類、ミミズなどの土壌微生物を捕食して、3~5年かけて成長し、成熟すると再び水域に戻ってくる。

サンショウウオは繁殖時期にのみ水辺に留まるのに対し、アカハライモリやシリケンイモリの成体は、繁殖期以外も水中で生活することが多い。一方、イボイモリはいったん上陸すると水中には入らない。

再生


イモリは脊椎動物でも、特に再生能力が高いことでも知られている。多くの脊椎動物ではですら再生することはできない。トカゲは尾を自切し、再生することで知られているが、実は脊椎までは再生しない。これに対して、イモリでは尾を切ると完全に再生し、四肢を肩の関節より先で切断しても指先まで完全に再生する。

なお、この再生能力の高さは、生態学的研究には障害になる場合がある。個体識別をするためのマーキングが困難なのである。一般にカエル類やトカゲ類といった小型の両生類や爬虫類では様々なパターンで足指を切ってマーキング・個体識別(トークリッピング)を行うが、イモリは簡単に再生してしまう。尾に切れ込みを入れても、傷が浅ければすぐ再生する。札などを縫いつけても、やはり皮膚が切れて外れやすく、傷はすぐに再生する。ただしイボイモリは極度のトークリッピングのため、再生せずに指の無い個体が沖縄ではよく観察される。

利用


ペットとして飼育される場合が多い。日本のイモリは欧米では人気があり古くから輸出されている。一般的に有尾類は温度変化に弱く、摂餌行動が鈍く、人工環境での長期飼育が困難な種が多い。また、現地で法的に保護されている場合も少なくない。 しかし日本のアカハライモリは温度変化に強く、きわめて貪欲で、飼育に適し、個体数が多く特に保護されていなかったため、欧米を中心に大量に輸出されてきた。またシリケンイモリも輸出された。90年代の終わりからは輸出は減少傾向にあるらしく、中国産のシナイモリ Cynops orientalis が販売されていることが多い。両種は外見が似ているため混同されていることもある。海外の熱心な愛好家は累代飼育を行っている。

日本でもアカハライモリとシリケンイモリはよくペットとして販売、飼育されている。しかし個体数の減少に伴い、埼玉県のように自治体によっては条例で捕獲が規制されるようになった。他の地域でも絶滅が危惧されている個体群は少なくない。またこれとは別に、産地不明の飼育個体が逃げだしたり個体を遺棄することによる地域個体群への遺伝子汚染が懸念されている。 ヨーロッパには、日本のイモリとは別属の複数種のイモリが分布しており、色も黒一色ではなく、褐色や緑のものもある。また、繁殖期のオスが背中にひれを生じるなど、おもしろい形のものもあり、愛好家に人気が高い。ヨーロッパ産のイモリは、現地では捕獲が厳しく制限されていることが多い。

また、発生実験の材料としても用いられる。特に、シュペーマンが胚域の交換移植実験などを通じて、形成体を発見するのにイモリを用いた一連の実験が有名である。近年では、その再生力の強さに注目して、再生・分化などの研究に用いられることも多い。 1994年には、スペースシャトル・コロンビアにアカハライモリが搭載され、微小重力下での産卵、発生の実験と観察が行われた。

日本では、かつてはイモリの黒焼きはほれ薬として有名であった。竹筒のしきりを挟んで両側に雄雌一匹づつを分けて入れ、これを焼いたもので、しきりの向こうの相手に恋いこがれて心臓まで真っ黒に焼けると伝える。実際の成分よりは、配偶行動などからの想像が主体であると思われるが、元来中国ではヤモリの黒焼きであったためイモリの黒焼きになったのは日本の独自解釈による。

沖縄諸島のイモリ


  • シリケンイモリ Cynops ensicauda
体長は12㎝前後で、アカハライモリよりすこし大きい。シリケンとは「尻剣」で、剣のように縦に平たくのびた尾のことを指している。外見や生態はニホンイモリと似ているが、腹が一面にだいだい色の個体や、沖縄産では全身に白いまだらもようが出る個体などがいて、個体間で体色に大きな差がある。奄美諸島の基亜種はアマミシリケンイモリCynops ensicauda ensicauda、沖縄諸島の亜種はオキナワシリケンイモリ Cynops ensicauda popeiとされる。

  • イボイモリ Echinotriton andersoni
体長は17㎝前後。日本産イモリ3種のうちではもっとも大きく、原始的なイモリ。張り出した肋骨の先がイボのように見えるのでこの名がある。他の2種とは異なり腹が赤くなく、成体はまったく水に入らず、森林の陸上で生活している。産卵も水中ではなく水辺の岸で行い、孵化した幼生はピョンピョンと跳ねながら自力で池まで移動することになる。

※どちらも分布が島に限られているため、両生類・爬虫類レッドリスト (環境省)では、シリケンイモリが準絶滅危惧(NT)、イボイモリが絶滅危惧II類(VU)に指定されている。イボイモリは鹿児島県および沖縄県の天然記念物に指定されており、採集、飼育等が禁止されている。

Тритон | Molch (Biologie) | Newt | Tritone (zoologia) | newt

サンショウウオ

 

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