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アルペンスキーヨーロッパアルプス地方で発展したスキー技術である。アルペン(Alpine)とは、アルプスのという意である。ビンディングの違いからノルディックスキーとは別々に発達したスタイルである。雪の斜面をターンを繰り返し、ときには直滑降をおり混ぜつつ滑べる。斜面は斜度0度から40度以上までのさまざまな斜度で構成されるが、大半の愛好者は斜度10度ぐらいから20度ぐらいまでを好む。滑走速度はレジャー目的では40km/hから60km/h程度までだが、高速系競技では100km/hを越える。大半の愛好者はスキー場で滑走するが、自然の整備されない山を登って滑べり降りる山岳スキーの愛好者も多い。

用具


アルペンスキーでは以下のような用具を用いて滑走する。

スキー板

アルペンスキーのスキー板は、2本の細長い板からなる。

構造
スキー板は、芯材、ソール(滑走面)、エッジ、トップシート、サイドウォールなどから構成される。

芯材はスキー板のもつべき剛性や弾性を実現する中心的な素材である。伝統的には木材が用いられてきたが、近年は発泡樹脂も用いられており、また、ケブラーグラスファイバーカーボンファイバーボロン繊維などの化学繊維チタン合金やマグネシウム合金のような金属により強化することで天然素材そのままでは実現できない力学的特性を実現している。

ソールは、スキー板が雪面と接する部分である。現在のスキー板では高密度ポリエチレンが用いられている。特に、上級モデルや競技モデルのスキー板のソールは焼結ポリエチレンを用いることで、滑走時に塗布するワックスがよりよく吸収されるようになっており、雪面に対する摩擦系数の低下による滑走性の向上を図っている。また、競技モデルを中心として、グラファイト粉末を混入して静電気の発生の低減を図ったものも用いられている。

エッジは、アルペンスキーにおけるターンの実現に欠かせない部品である。硬い金属、一般にはを素材とする細長い形状のもので、ソールに沿ってスキー板の左右に、板の先端(トップ)から後端(テール)まで配置される。現在はトップからテールまで、ひと続きとなったエッジがほとんどだが、板の柔軟性を優先するために、数cmごとに切れ目の入ったクラックドエッジも一部で用いられている。エッジは90度、ないしそれよりやや鋭角に研がれているのが一般的であり、ターン時に雪面、ときにはアイスバーンを削ってターン中の足場を確保する。

トップシートとサイドウォールは、スキー板の上面や側面を保護するための部材である。近年は、その形状や材質を工夫することで、スキー板の性能向上につなげている場合が多い。また、スキー板の構造は、もともとはソール、芯材、トップシートを重ねて貼りあわせて側面にサイドウォールを接着したサンドイッチ構造のものが多かったが、トップシートとサイドウォールを一体化したボックス構造、あるいはキャップ構造を採用する板も近年は多い。そのほか、トップシートの上に振動吸収を目的とした小さな部材を取り付けた板も存在する。

形状
アルペンスキーのスキー板は、ターン技術を用いた滑走に適した形状をしている。スキー板の先端と後端が太く、ビンディングを介してブーツと繋がる中央部分が細くくびれた形状となっている。滑走時に、スキーヤーがスキー板を傾けて板の上から圧をかけることで、スキー板はたわみ、エッジが雪面に食い込んで足場をつくることで、スキー板全体は雪面に対して弧を描いて接することとなり、その結果、スキーヤーはターンすることができる。

また、スキー板は単体でソールを下にして水平面に置くと、先端近くと後端近くで水平面に接し、中央部分が浮いた弓なり状となっている。これは、人がスキー板を履いて平らな雪面に立つことでソール全体が雪面に接するようになっていて、安定した直滑降を可能にしている。なお、スキー板の先端部分は上に持ち上がっていて、滑走時に雪面に刺さりにくい形状になっている。後端部分はほとんど平らとなっている板が多いが、フリーライド用途のものではツインチップと呼んで後端も先端と同様に持ち上がった形状とすることで逆方向への滑走にも対応したものがある。

アルペンスキーのスキー板の長さは、1980年代までは2m前後のものが一般的であったが、1990年代カービングスキーの登場とその一般化という技術革新のもと、扱いやすい 150cm から 180cm 程度が一般的となり、2mの板は高速系競技でのみ見掛けるという状況になった。また、100cm から 130cm 程度のショートスキーや、70cm 程度のファンスキーまたはスキーボードと呼ばれるものもあり、これらは滑走特性の違いから独自のジャンルとして位置付けられている。

ビンディング

ブーツをスキー板に固定させるための器具。爪先を固定するトゥーピースと、踵を固定するヒールピースからなる。ビンディングとスキー板は、直接、あるいはプレートを介してトゥーピースとヒールピースがそれぞれ別に固定されるものが多いが、ビンディングとヒールピースが別の部品を介して一体のものとなっていて、その部品がスキー板と固定される場合もある。

1970年代以降のアルペンスキーでは、滑走中の転倒などによる怪我を防ぐためブーツから一定以上の力が加わるとブーツを外すリリース機構がついているセイフティビンディングが一般に用いられるようになった。ただし、おおむね1m未満のショートスキー板の場合、板の重量が軽いことや転倒時の脚への負荷の違いを考慮して、セイフティビンディングでない、簡易なものが用いられている。また、山岳スキーでは登行時に踵が上がることが求められるため、リリース機構がついていない、あるいはトゥーピースのみにリリース機構がついたものが長年用いられてきたが、2000年ごろから、ゲレンデスキーにおけるカービングスキーの流行やそれに伴う滑走速度の高速化を山岳スキーにおいても実現したい人々の要望に応じるよう、トゥーピースとヒールピースの両方にリリース機構を有する、ゲレンデスキー用のセイフティビンディングと安全性において匹敵するような山岳スキー用ビンディングも普及するようになった。セイフティビンディングでは、解放時にスキー板が流れるのを防止するためのスキーブレーキがヒールピースに備えられているが、ショートスキー用の簡易ビンディングでは存在せず、また山岳スキー用の場合はまちまちである。スキーブレーキを備えていない場合、スキーヤーは流れ止めと呼ばれる長い紐で身体とビンディングを結びつけて、スキー板が流れ続けることがないようにする必要がある。

セイフティビンディングは、現在の主流はステップイン式とターンテーブル式に二分される。

どちらもトゥーピースは同様の機構となっていて、ブーツの爪先のコバを前上左右から固定する。固定部材は上下軸によって左右に動くのだが、左右の力に対してはばねの弾性で一定の力までは耐えるが、それを越えると解放する。上方向や斜め方向の力については、とくに考慮していないものと、解放するものとがある。

ヒールピースは、ブーツの踵のコバを上から抑えつけて固定する。ステップイン式は、ブーツを固定している部材が左右軸によって前方向に倒れることでブーツの踵のコバを上から固定し、またヒールピースの位置によって後方からも固定する。固定された部材はばねの力で引っ張られており、指定された強度を越える力がかかることで解放する。ターンテーブル式は、ヒールピース全体が上下軸で動くターンテーブルの上に乗っていて、左右に少し動くことが特徴となっている。ブーツを固定する部材は左右軸によって動くが、ステップイン式とは異なり、部材を持ち上げた状態で上後方から圧縮されたばねの伸長力で固定する。

両方式について、ターンテーブル式のほうが正確に解放するとも言われるが、ステップイン式のほうが扱いやすさに優るため、市場のシェアはステップイン式のほうが大きいが、上級者を中心としてターンテーブル式にも根強い支持があり、両方式とも用いられている。

なお、セイフティビンディングについては安全性やブーツとの互換性のため、ブーツのコバ高や、個々のビンディングで設定する解放強度に対応する解放力や解放モーメント、スキーヤーにとって適切な解放強度の算出方法などが規格化されており、先行して規格化を行ったDINになぞらえてDIN規格と呼ぶことが多いが、現在はISOで規格化されているものを各メーカーとも用いている。

プレート

スキーブーツ

ストック(ポール)

ワックス

服装


また、スキーヤーは、以下のような服やアクセサリーを身につけるのが一般的である。

スキーウェア

ゴーグルまたはサングラス

スキーグローブ

帽子またはヘルメット

プロテクター

滑走技術


直滑降

板を平行に保ち、ターンをせずに斜面をフォールライン方向にまっすぐ降りていく技術。 アルペンスキーに限定されない全てのスキーの基本技術であり、緩斜面においては初心者も学ぶ技術ではあるが、 エッジを足場とすることがないため、斜度がきつくなりスピードが高速になるにつれ、 直滑降を維持して滑走するのは高度な技術となる。

斜滑降

板を平行に保ち、斜面のフォールラインに対して板を斜めにおいてエッジを立てた状態でフォールラインに対して斜め方向にまっすぐ滑走する技術。

横滑り

板を平行に保ち、斜面のフォールラインに対して板を直角ないし斜めに置いて、脚を谷側に傾けることでエッジを緩めて板に対して横に滑走する技術。方向は、フォールライン方向でも斜め方向でも、意図した方向であればよい。

プルークボーゲン

両方の板の先端を近づけて後端を遠ざけてハの字のように置き、エッジを立てて制動を掛けながら滑べる技術。安全のために初心者が最初に学ぶ技術のひとつであり、状況に応じて全てのスキーヤーが用いる基本技術でもある。

プルークターン

プルークボーゲンの姿勢を基本とし、両スキーへの加重やエッジの立て具合を調節することによってターンする技術。おもに初心者が最初に覚えるターン。

シュテムターン

斜滑降の姿勢を基本とし、ターンに入るときにプルークターンの姿勢をとってターンをし、ターンの終わり近くで次の山側(ターン内側)の板を動かして板を平行に戻す技術。ターン導入の方法としては、山側(ターン外側)の板の後端を押し開くもの、山側の脚を踏み出しながら板の後端を開くもの、谷側(ターン内側)の板の後端を押し開いたのち山側の脚へと荷重を移動するものとがある。以前は中級者のパラレルターンへの導入のための技術と位置付けられていたが、カービングスキーの普及でパラレルターンの習得が簡単になり、プルークターンから直接パラレルターンへと移行する指導技術が確立したため、その必要性は薄まっている。しかし、依然として滑走者の技術を上回るような斜面や、山岳スキーにおいてパラレルターンが安全とはいえない状況における技術として、重要である。

パラレルターン

板を平行にしたままターンする技術。スキーを揃えて谷スキーを踏み、山スキーへ踏みかえる。踏みかえは、両足を交互に動かす交互操作と、同時に動かす同時操作とがある。初歩的なものは中級者でも可能だが、おもに上級者のターン技術。より細かくはスキッディングターンとカービングターンに分類されるが、実際の滑走では両者の中間的なものが多く見られる。

ウェーデルン

早いリズムで外スキーから次の外スキーまで踏み換えながら滑る技術。パラレルターンの小回り的といえるが、パラレルターンの小回りだけをウェーデルンというわけではなく、ボーゲンでも早いリズムでターンをしていればウェーデルンといえる。おもに上級者のターン技術。

ステップターン

ターンの切替えに減速せず谷スキーで踏み蹴り、山スキーに乗り込む滑走技術。減速しないという点でカービングターンとよく混同されるが別物である。おもに上級者のターン技術。

スキッディングターン

パラレルターンの一種であり、山スキーに踏みかえた後に、スキー板をずらして制動しながら回旋してから山まわりに移行することでターンする技術。ターンの外足がプルークターンやシュテムターンと近い動きをするため、パラレルターンの中では易しい技術であり、また安全を重視して滑べる技術でもある。

カービングターン

パラレルターンの一種であり、ターン開始時に脚をターン内側に傾けて、意図的な加重や外力を利用した加重によってスキー板をたわませて曲面を作り、これを雪面に食い込ませることで足場を作ってターンする技術。スキッディングターンと異なり板の制動要素が少ないため、高速滑走が可能となる。パラレルターンの中では難しい技術であり、1990年ごろまではごく一部のスキーヤーのみの技術であったが、カービングスキーの登場により一般スキーヤーにも可能な技術となった。なお、カービングとは「彫る」の意味であって「曲がる」の意味ではない。

クローチング

高速滑走時にとる姿勢。主にアルペンレースの大回転以上の高速系で用いる。板は平行に肩幅かそれより若干広く開き、足首と膝を屈曲して腰を落とし、上半身は前に倒す。腕は軽く曲げた状態で前方に突き出し、手の平を上に向けてストックを握り、ストックは脇から身体に沿わせるように後方に出す。顔は前方を見る。直滑降か、脚を左右に傾けて行うクローチングターンと呼ばれる浅いターンが基本的な滑べりとなる。

競技


山岳スキー技術として誕生したアルペンスキーは、次第に如何に速く斜面を滑り降りるかという競技に発展した。現在ではヨーロッパを中心に非常に人気の高い競技スポーツとなっており、特にオーストリアスイスなどアルプスの国々では国技であり、勝者は国民的英雄である。

第4回冬季オリンピックから正式競技として採用されている。

概要

山を滑り降りる速さを競う競技であるが、コースには旗門と呼ばれる2本1組の旗またはポールが並べられ、その旗門を順番に通過しながら滑り降りる。旗門を通過できなかった場合は失格となる。種目によって、旗門数、旗門のインターバル、コース長、標高差が大きく変わってくる。

1回の滑走または2回の滑走の合計タイムで順位を競う。

種目

大会

世界第一線級の国際大会は、オリンピックの他に次のようなものがある。
  • 世界選手権
    2年に1度、オリンピックの前後のシーズンに開催される。全種目一発勝負で行われ、各種目の勝者が世界チャンピオンである。
  • FISワールドカップ
    毎シーズン、ヨーロッパを中心に世界各地を転戦し、複合を除く各種目を5~10レース行い、各レースの順位はもとより、シーズン通しての総合成績を競う。各種目の順位の他、全種目総合の順位も決定し、ワールドカップの勝者こそ真の王者と言える。

名選手

コース

自然の山の地形を最大限に活かすアルペンスキーのコースは、それぞれに特徴がある。コース長、標高差、最大斜度はコースによって様々であり、旗門のセットは毎回違うため、陸上競技のような世界記録というものは存在しない。ただし、滑降競技のように毎回ほぼ同じコースレイアウトでレースが実施される場合、歴史あるコースではコースレコードというものが存在する。

世界的に有名なアルペンスキーのコースとしては、オーストリアキッツビューエルスイスウェンゲンアーデルボーデンなどがあり、日本にはオリンピックや世界選手権の舞台となった、八方尾根雫石志賀高原などがある。

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