Tsunami_comic_book_style_jp.png 津波(つなみ/海嘯)は、海域での地震(プレートによる)や火山活動による山体崩壊、海底の地滑り、海洋への隕石の落下など気象以外の要因によって引き起こされ、海岸線に到達して被害を及ぼす可能性のある高波である。地方によっては、津波のことを「よだ」と呼ぶ場合もある。
英語ではtidal waveという語が使われて来たが、潮(tidal)とは関係ないことからTsunamiが用いられる。1946年、アリューシャン地震でハワイに津波の大被害があった際、日系移民がTsunamiという語を用いたことから、ハワイでこの語が使われるようになり、被害を受けて設置された津波警戒センターの名称も1949年には Pacific Tsunami Warning Center とされたことから、アメリカ合衆国ではこの語が広く用いられるようになり、その後、国際語化した。
地震に伴って海底面の変位が生じると、直上の海面にも変位が起き、うねりが生ずる。このうねりは、発生場所では波長が長く(約10km)、波高も高くない。このうねりが、波として海面を伝わり、陸地に近づくにつれ、波高が増幅され津波となって陸地に押し寄せる。
津波の高さは、水深が浅くなると急激に高くなる。また、津波の伝わる速度は、水深が深いほど速い。また、海底の地形や海岸線の形に大きく影響されるため、単純に震源からの距離では津波の高さは決まらない。
津波の波高の成長過程や速度は月の引力・地球の自転・太陽の引力等によって生じるいわゆる干潮・満潮等の規則的な潮汐とは異なった特性をもつ。津波は潮汐による波に比較して高速に伝わり、平均深度が4000m程度の太洋では伝播する際のエネルギー損失が少なく、ジェット旅客機並みの時速800kmに達し、太洋を隔てた震源地で生じた津波は十数時間かけて太洋を横断して沿岸域に被害をもたらすことがある。加えて、建物や建造物等に大きな揺れで被害をもたらすことの多い地震波のS波が岩盤を伝播する速度が、秒速3-4kmと非常に高速ではあるものの揺れが減衰するのに対し、津波では地震波よりも到達時間が多くかかるが、エネルギー損失が少ないので甚大な被害をもたらすことがある。
サーフビーチのような海浜で見られる波は、大気の変動で生じた嵐などの風により生じたもので、その間隔は概ね10秒間隔で波長は150mである。これに対し津波の間隔は、短いもので2分程度、長いものでは1時間以上のものがあり、100kmを越す長波長のものがある。
一般的に水中地震では3-5個のはっきりした波を隆起させ、2番目若しくは3番目の波が最も大きくなる傾向がある。
津波の第一波が襲来する前に、引き潮が発生するのは震源より陸側で沈降が生じたケースであり、いきなり第一波が襲来するのは震源より沖合側での沈降が生じたケースによる。よって、津波と引き潮の出現順序は地震の種類や震源と陸の位置関係により一様でない。なお、遠浅の海浜で800mを超える干潟が生じた例があり、津波の恐ろしさや知識のない人々は、突然生じた干潟に残された魚を集めることもあり、被害を大きくすることがある。
一般的に、遠浅の海で起きる波では、水深と個々の波の間隔を示す波長の比率は、海底の摩擦により非常に小さくなる。一方、嵐などの大気の影響で起きる一般的な波に比べて津波の波長は大きく、深海を伝播して到達した津波は浅瀬で被害を及ぼす。浅瀬における波の速度は重力加速度と水深を乗じた値の平方根に等しく、例えば平均的な水深が 4,000m の太平洋を渡る津波ではごく少ないエネルギー損失の結果、平均して秒速 200m (時速712km, 時速 442マイル)の速度で伝播する。水深が 40m では速度がより遅くなるものの秒速 20m (時速 71km, 時速 44マイル)であり、もし津波に遭遇して人間が速く走ったとしても、津波から逃れることは非常に難しい。
海底までの距離が相当ある海では、津波の持つエネルギーは殆ど減少せず、津波の速度は水深にのみ左右されるため、波が陸地に接近する際は、速度は減少するものの波の高さは急上昇する。一方で、海底までの距離が相当ある海上にいる人たちは、津波の存在にはおそらく気付かないが、沿岸部や島嶼に波が達し押し寄せる時には、波高は 30m以上に成長し、もし沿岸部や島嶼部に遠隔操作による計測機器が備わっていて津波を予期することができたとしても、観測機器は被害を留めることはできず、周辺域や都市施設に情け容赦ない破壊と被害をもたらす。
津波は発生源を中心にして外側に伝播するため、津波の通り道から影になる陸地が存在する場合は通常は安全であると考えられるが、盾となった陸地の周囲にも波は回折して内側まで回りこみ、被害をもたらすことがある。加えて、盾となった陸地から反射した波との干渉により生じた波が影響を与えることもある。この例はスマトラ沖で発生したスマトラ島沖地震の津波がインド大陸とスリランカを経由した後のImage:2004 Indonesia Tsunami Complete.gifから見てとることができる。 さらに、津波によって生じた波は自然地形や発生源の形状により、必ずしも対称形ではないために他の方向に比べて一方向がより強大になる可能性もある。
陸地が近付くに従って水深が浅くなることから、津波の先頭部分は徐々に速度が下がっていくが、後続の波が追い付き覆い被さることから、波の高さが上昇して更に大きな高さの津波に成長する。陸地の海岸線の形状は様々であり、湾や入り江では行き場を失った波は高くなり、リアス式の地形では急激に入り江の幅が狭くなるため津波は一層高くなる。なお記録に残る最大の津波は、1958年7月にアラスカのリツヤ湾において、地震により発生した地すべりと地形的要因により起きた津波(高さ約520m)といわれる。
津波の速度は海底までの水深や海岸線の地形に影響を受け、水深が深いほど津波の速度は速くなる。
津波が伝搬する秒速は g を重力加速度、d を水深とした場合、次式で算出する。
気象庁は、震度3以上の地震が発生すると、約3分のうちに津波に関する情報(予報の有無)を発表する。震度2以下でも津波予報が発表される場合がある。発表までの時間を30秒に短縮するために、地震計をより高性能のものに置き換える作業を現在行っている。 なお、津波警報が発表された場合、放送局より緊急警報放送が送出される。 Numazu port gate.jpg)]] 震源の位置・マグニチュード・断層パラメータ等から、津波の発生の有無・規模は計算可能である。地震が起きてから計算していたのでは間に合わないため、あらかじめ、様々な地震のケースを想定した計算を行ってある。
津波の予報には以下の3種類がある。
| 津波警報 | 大津波 | 高いところで3m以上の津波 |
| 津波 | 高いところで2m程度の津波 | |
| 津波注意報 | 津波注意 | 高いところで0.5m程度の津波 |
また、津波警報・注意報は、日本の沿岸を細かく区切った津波予報区分にしたがって、地域を指定して出される。
津波予報(津波警報や津波注意報)が発令された場合は、到達時刻や予想される津波の高さ、各地の満潮時刻、津波が到達した場合の観測波高などの「津波情報」が発表される。
なお、日本を含む太平洋地域では、1960年のチリ地震による津波で、日本を含む各国に被害が出たことをきっかけに、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が中心となって、太平洋津波警報組織国際調整グループが設立された。現在、日本やアメリカ、中国、オーストラリア、チリ、ロシア、韓国など26の国と地域が加盟しており、沿岸各国で地震や津波が発生した場合、データがハワイにあるアメリカ国立海洋大気局の太平洋津波警報センターPacific Tsunami Warning Centerに集められ、各国に津波の規模、到達推定時刻などの警報を発する仕組みがある。
海岸に押し波が先に来るか、引き波が先に来るかは、震源直上の海底がどちらに動いたかによって決まり、どちらの波になるかの予測は難しい。
津波は震源直上の海底地形が隆起した直上で発生することから、隆起と沈降のうち海上の震源地に対して陸地寄りの位置で隆起が起きるといわゆる高波としての押し波(上げ潮)が先に襲来し、震源地を境に陸地寄りで沈降が起きて沖合い側で隆起があった場合は引き波(引き潮)が先に起きる。
三陸地方では「晴れた日には、よだ(津波)はこない」と伝えられていたが、この伝承はまったくのデマであり、天気の晴雨によらず津波は襲来するものである。
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