工学(こうがく、engineering)は、科学、特に自然科学の蓄積を利用して、実用的で社会の利益となるような手法・技術を発見し、製品などを発明することを主な研究目的とする学問の総称である。大半の分野では数学と物理学が基礎となる。
工学と理学の違いは、理学がある現象を目の前にしたとき「なぜそのようになるのか?」を追求するのに対して、工学は「どうしたら目指す成果に結び付けられるか」を考えることにある。すなわち、工学ではある実験によって一定の関係が得られたら、それがなぜ起こるのかにはあまり関心を寄せず、その実験式をとりあえず受け入れる。なぜそのような関係になるのかを追求するのは理学の役目だからである。
また、理学では「思想」なり「信条」といったことをその理論内に取り込まない傾向があるが、工学では「設計思想」が重要であり、また各工学の学会(電気学会、土木学会など)では信条規定が定められている。
更には、理学では「安全」といった概念が扱われない傾向があるが、工学では安全が重要なウェイトを占める。
理学を重視する見地からすれば工学は理学から分かれたような錯覚をおこしがちであるが、歴史的に見ると工学は理学とは相互に影響しながら発達してきたといえる。例えば、蒸気機関の効率についての研究から熱についての認識が深まっていったのであるし、熱についての理学的な研究が進められることによって冷凍も可能になったのだといえる。
工学的妥当性は、使用できる時間やその他の資源の制約の中、工学的目的を達成するための技術的な検討とその評価である。
工学的な性質には、環境適合性・使いやすさ・整備のしやすさ・生涯費用(ライフサイクルコスト)など、質量・速度などの単なる科学的に測定できる性質とは違った評価方法の必要なものが多い。その評価方法の開発も重要な分野である。
技術の組み合わせとその評価方法は、何を重点に置くかによって違ってくるので、その面においては社会情勢に対する深い理解があることが望ましい。
工学には、他の学問の成果を社会に還元するための技術の開発という面もある。
近年はそれに加えて、その技術の適用にあたっての長所・短所の調査(アセスメント)、調査結果とともに調査過程の資料を公表説明すること(アカウンタビリティ)が求められるようになってきている。
工学には、研究者・専門技術者の養成の役割も期待されている。
工学教育のためには、実験・実習が重要である。また、その目的のためのインターンシップなどが行われるようになってきている。
一つの分野の進歩が、各分野の進歩につながることが多いが、他の分野の進歩の停止につながることもある。
前者の例として、材料工学の進歩で、各分野で理論だけであったものが実際に物として製作されるようになってきたことがあげられる。
後者の例として、内燃機関・電動機の発達により、小型原動機としての蒸気機関の発達が停止したことがあげられる。
工学の成果が、他の学問分野で利用されることも多い。
例えば、コンピュータによる情報処理は、自然科学分野だけではなく、社会科学・人文科学分野でも行われるようになってきている。
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